米Cingular Wirelessは,米AT&T Wirelessを約410億ドルで買収する。両社が米国時間2月17日に明らかにしたもの。「買収により,米国で最大のGSMネットワークを提供する,ナンバー1の無線キャリアが誕生する」(Cingular Wireless社)

 AT&T Wireless社の株主は,普通株式1株につき現金15ドルを受け取る。買収作業は,AT&T Wireless社の株主と規制当局の承認を経て,2004年中に完了する予定。

 両社の2003年の年間売上高を合わせると320億ドルを超える。サービス提供エリアは米国の49州をカバー,その顧客数の合計は4600万人となり,現在,首位に立つ米Verizon Wireless約3600万人を抜く(米InfoWorldの記事)。

 Cingular Wireless社社長兼CEOのStan Sigman氏は,「両社が合体することで,より広範なサービス・エリア,信頼性と通話品質の向上,革新的なサービスの提供などが実現し,高度な無線サービスを消費者に提供できるようになる」と説明する。「無線通信は,電気通信業界の成長を後押しする重要な要素だ。このため,AT&T Wireless社を買収することで,当社は市場の拡大とともに成長を続けることができる」(同氏)

 一方のAT&T Wireless社会長兼CEOのJohn D. Zeglis氏は次のように述べる。「Cingular Wireless社による買収は,関係者すべてに多大な恩恵をもたらすだろう。当社の株主は多額の投資利益を手に入れ,消費者は米国最大の無線事業者しか提供できないサービスを受けられるようになる。また,当社の従業員も企業規模の拡大によって,キャリア・チャンスをつかむことができる」(同氏)

 Cingular Wireless社では,営業支出や設備投資費用などで,2006年には年間10億ドル以上,2007年には同20億ドル以上のコスト削減を見込んでいる。

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[Cingular Wireless社に掲載の発表資料]
[AT&T Wireless社に掲載の発表資料]