調査内容 主要SIerに対する「利用したい理由」(その2)
調査時期 2008年10月中旬~下旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 3124件(1247件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数


 日経マーケット・アクセスが企業情報システムの担当者(ITpro Researchモニター登録者)を対象に行った2008年10月調査で,「今後利用したい」という回答を得たシステム・インテグレーター(SIer)に対する「利用したい理由」を分析した。11月20日付け記事での得票数上位7社に続き,今日の記事では得票数30以上45以下の8社(日本ユニシス,NECソフト,NTT-ME,富士通ビジネスシステム(FJB),日立電子サービス(電サ),住商情報システム(SCS),日立情報システムズ,新日鉄ソリューションズ(NSSOL))についての結果を紹介する。なお,この15社に含まれなかった今回の利用意向率上位10社(11月17日付け記事参照)は,いずれも「今後利用したい」とし『利用したい理由』を1つ以上選んだ有効回答が20票未満と少数だったため,参考値としても紹介はしない。

「過去の実績」や「企業規模」「ブランド」に依存するユニシス

 今回の調査から,SIerとしての評価を求めた日本ユニシス(「今後利用したい」得票数8位,利用意向率18位)への最大の『利用したい理由』は,「過去の導入/利用実績」の37.8%。ただしこの値は他のSIと比べると,11月20日付け記事で紹介した通り,評価対象15社の単純平均値39.1%を下回っている。日本ユニシスへの『利用したい理由』で評価対象15社の単純平均値を上回ったのは,15.6%を得た「企業規模や体制」(15社平均は11.7%)の1項目のみ。「提案、業務分析、情報提供」(26.7%)と「ブランドや企業イメージ」(17.8%)が評価対象15社の中央値と同率だった。なお日本ユニシスは,ベンダーとして評価を求めた前回2008年7月調査前々回2008年4月調査では,有効回答が15票未満と少なかったので,参考値としても紹介はしない。

 同じく「今後利用したい」得票数では8位だが,利用意向率では63社中36位のNECソフトの場合,「ブランドや企業イメージ」を『利用したい理由』に挙げた回答が26.7%で,11月20日付け記事で紹介した野村総合研究所(NRI,26.1%)やキヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ,25.3%),NTTデータ(24.3%)をわずかながら上回り,評価対象15社の最大。前回調査ではNECソフトの「ブランド」を『利用したい理由』に挙げた回答は11.4%で,15ポイントものアップである。

 ただしNECソフトの中で最大の『利用したい理由』は日本ユニシスと同じく「過去の実績」で,日本ユニシスと同じ37.8%。NECソフトも「ブランド」以外の6項目の支持率は評価対象15社の単純平均値を下回り,「提案」(26.7%)が評価対象15社の中央値と同率という結果である。

Fieldingと並び「実績」強く「提案」弱いNTT-ME

 得票数10位,利用意向率25位のNTT-MEも,最大の『利用したい理由』は「過去の実績」の48.8%。11月20日付け記事で紹介したNECフィールディング(Fielding)の52.3%に次ぐ2番目の高率である。前々回2008年4月調査での23.8%から,前回調査で41.5%に急拡大し,今回さらにその比率が上昇した。

 NTT-MEは,「コスト」も14.0%の支持で評価対象15社の単純平均(12.5%)を上回り,「ブランド」も23.3%でNTTデータに次ぐ5位と高い。しかし「製品/サービスの機能」は16.3%で15社中最小。「提案」(11.6%)はFieldingの9.2%に次ぐ15社中14位に沈んでいる。

電サが「導入後のサービス」でFieldingとFsasを大きくリード

 得票数11位,利用意向率9位の電サの『利用したい理由』は,やはり「導入後のサービス」が突出。前回調査では47.1%でFieldingと同率の1位だったが,今回は大幅アップの58.5%。47.7%のFieldingや47.9%の富士通エフサス(Fsas)に10ポイント以上の大差をつけて,評価対象15社の最大値を得た。

 ただし電サは「製品/サービスの機能」への支持が前回調査の32.4%から大きくダウン。24.4%でNTT-MEに次ぐ15社中下から2番目。「ブランド」も前回調査の5.9%をさらに下回る4.9%で,15社中最小だ。

 電サと同得票数,利用意向率26位のFJBは,「製品/サービスの機能」での支持率が前回調査の14.3%から約20ポイント・アップの34.1%で,15社中3番目の位置に上がった。しかし残りの6項目での支持率は15社中10番目前後と目立たない。「過去の導入/利用実績」(前回51.4%→今回36.6%),「企業規模や体制」(前回25.7%→今回9.8%)の2項目は約15ポイントの大幅ダウンとなっている。

 得票数13位,利用意向率31位のSCSへの最大の『利用したい理由』は「提案、業務分析、情報提供」の37.5%。前々回2008年4月調査での29.3%から約8ポイント・アップして15社中4番目(前回は有効回答28で参考値だが35.7%とやはり高率)。やや意外なことに,SCSは「コスト」への支持が今回17.5%と高く(前々回は12.2%,前回は参考値だが急落してわずか3.6%),キヤノンMJ(16.0%)やNTT-ME(14.0%)を上回り,15社中4番目に位置する。ただしSCSは前々回36.6%,前回(参考値)39.3%と高水準を維持してきた「製品/サービスの機能」での支持率が,今回は27.5%と大きく低下している。

「機能」でトップは日立情報,NSSOLは「提案」で3連覇

 得票数14位,利用意向率41位の日立情報システムズは,前回調査での各項目の支持率から10ポイント以上変動した項目が4つもある。「製品/サービスの機能」は前回から10.6ポイント・アップした41.0%で,評価対象15社の最大値。「コスト」は逆に10.1ポイント・ダウンの5.1%で15社の最小値。そのほか「導入後のサービス」(前回21.7%→今回38.5%)と「過去の実績」(前回32.6%→今回43.6%)も,大きくアップしている。

 得票数15位,利用意向率37位のNSSOLは,前々回2008年4月調査で38.3%,前回2008年7月調査で41.7%の支持率を獲得した「提案、業務分析、情報提供」が金城湯池。今回もさらにポイントが上がり,NSSOLの『利用したい理由』の過半数51.4%の支持を集めた。NRI(47.8%),CTC(39.3%)を抑えて,3回連続でこの項目での最大値をマークしている。

 ただし今回のNSSOLは,日立情報と同じく前回調査比の“出入りが激しい”結果となった。「導入後のサービス」(前回25.0%→今回45.7%)は20ポイント以上アップし4位,電サ/Fielding/Fsasのこの項目での3強に2ポイント差まで迫った。逆に「過去の実績」の22.9%(前回は30.6%)は,今回の調査で15社中唯一30%未満,突出した最小値である。「ブランド」(前回11.1%→今回22.9%)は10ポイント以上アップ。「コスト」は前回比では2.6ポイントの小幅なダウンだが,NRIの6.5%を下回り,最下位日立情報と僅差の5.7%で15社中14位となっている。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に,情報通信製品/サービス・ベンダーとシステム・インテグレーター(SIer)の主要企業各68社について,職務(担当システム)の領域で「今後利用したい」と感じるかを聞き,「今後利用したい」とした回答者に,そのベンダー/SIerを「利用したい」と感じる理由をたずねた。  選択肢は「コスト」,「提案,業務分析,情報提供」,「製品/サービスの機能」,「導入後のサービス(保守,稼働継続)」,「企業規模や体制」,「ブランドや企業イメージ」,「過去の導入/利用実績」,「その他」の8つを提示。その中から,「利用したい」と感じる理由を最大3つまで選ぶよう求めた。そのベンダー/SIerを「利用したい」とした回答者数(無回答者を除く。図中のn)を100%として,それぞれの理由が選ばれた比率を集計した。  今回の調査で30人以上から『利用したい理由』の回答が得られたSIerは,今日の記事で紹介した8社と,大塚商会,キヤノンマーケティングジャパン,NTTデータ,NECフィールディング,伊藤忠テクノソリューションズ,富士通エフサス,野村総合研究所(以上7社の結果は11月20日付け記事を参照)の合計15社だった。  評価対象企業全136社のリストは,本調査の設問の原文とともに,日経マーケット・アクセスの有償会員向けサイト「日経MA-INDEX 企業情報システム」で公開している。  調査実施時期は2008年10月中旬~下旬,調査全体の有効回答は3124件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は1247件。

図●主なシステム・インテグレータに対する「利用したい」理由(回答数上位8~15位,n=30以上45以下)
図●主なシステム・インテグレータに対する「利用したい」理由(回答数上位8~15位,n=30以上45以下)