調査内容 主要ベンダーに対する「利用したい理由」(その1)
調査時期 2008年7月中旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 3062件(1126件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数


 日経マーケット・アクセスが企業情報システムの担当者(ITpro Researchモニター登録者)を対象に行った2008年7月調査で,「今後利用したい」という回答を得たベンダーに対する「利用したい理由」(複数回答)を,得票数上位の5社(マイクロソフト,デル,NTT東日本/NTT西日本,日本ヒューレット・パッカード,日本オラクル)について分析した。

マイクロソフトは「機能」が65%,オラクルは62%

 今回,30人以上の回答者から「今後利用したい」とされ,「利用したい理由」を1つ以上選ばれたベンダーは26社(「調査概要」参照)。この26社の単純平均では,「製品/サービスの機能」が55.2%(前回2008年4月調査は56.4%)で最も多く,次いで「過去の導入/利用実績」の44.4%(前回41.0%),「ブランドや企業イメージ」22.4%(前回24.1%),「導入後のサービス(保守,稼働継続)」20.1%(前回23.6%)。「コスト」は平均14.7%(前回15.9%),「提案、業務分析、情報提供」は13.8%(前回11.1%),「企業規模や体制」が9.9%(前回10.2%)。「過去の実績」と「提案」以外の平均値はやや前回より低下した。

 得票数トップのマイクロソフトの『利用したい理由』は,今回も「機能」が最も多く65.3%(前回60.6%),「過去の実績」も前回より比率が上がって53.8%(前回51.3%),「ブランド」が31.8%(前回28.4%),「企業規模」が14.4%(前回16.9%)で,この4項目が前回同様26社(前回は23社)の平均値を上回った。「提案」も12.3%(前回10.2%)で平均値に近い。

 マイクロソフトと傾向が似ている日本オラクルは,最も多かった『利用したい理由』が「機能」の62.2%(前回67.6%)だが,マイクロソフトが前回より約5ポイント・アップしたのに対して,オラクルが約5ポイント・ダウンした結果。両者の位置が逆転した。ちなみに26社中『利用したい理由』で最も「機能」の比率が高かったのはヴイエムウェア(VMware日本法人,n=32)の81.3%だった。

オラクルの『利用したい理由』で「コスト」はわずか0.7%

 日本オラクルへの『利用したい理由』の2番目は「過去の実績」の57.8%(前回57.3%),3番目は「ブランド」の27.4%(前回29.2%)。4番目に上がっている「導入後のサービス」の14.8%が前回(23.2%)より約8ポイントの大幅減だったのが目立つ。「コスト」の0.7%は26社中の最低だった。

 NTT東/西への『利用したい理由』の特徴は,この回答数上位5社中唯一「導入後のサービス」25.9%が26社平均の20.1%を上回っている点。前回調査では「機能」と「過去の実績」がともに約40%だったが,今回は「機能」は前回なみの40.1%だったのに対して,「過去の実績」を挙げた回答者の比率が50.6%へ10ポイント以上増え,同社への『利用したい理由』のトップになったのも特徴である。

今回もデルはベンダー/SIer中唯一「コストが最大の理由」

 グラフからも明白なように,デルへの『利用したい理由』は「コスト」が61.6%(前回59.8%)で最大。26社中の『利用したい理由はコスト』率の2位は日本HPの38.2%(前回37.5%)。

 前回調査と同様,「コスト」が『利用したい理由』の中で最大だったのは,今回の評価対象のベンダー/SIer(30人以上から「利用したい理由」の回答あり)の中で,デル1社だけだった。ただし有効回答数27で参考値だが,今回はソフトバンクモバイルも「コスト」が『利用したい理由』の中で最大(51.9%)だった。デルの「コスト」以外の6つの選択肢で,26社の平均値を上回ったのは前回と同じく「過去の実績」49.7%(前回52.7%)だけだった。

 日本HPについての『利用したい理由』は,「コスト」が前述のように26社中の2位と高率だが,その他の6つの選択肢は,前回調査と同様,26社の平均値から5ポイント以内に収まっていて,比較的特徴がない。ただし「導入後のサービス」(前回24.7%→今回17.8%)と「ブランドや企業イメージ」(前回24.7%→今回17.8%)を挙げる回答者の比率が,前回調査より約7ポイントずつ低下したのが目立つ。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に,情報通信製品/サービス・ベンダーとシステム・インテグレーター(SIer)の主要企業各68社について,職務(担当システム)の領域で「今後利用したい」と感じるかを聞き,「今後利用したい」とした回答者に,そのベンダー/SIerを「利用したい」と感じる理由をたずねた。
 選択肢は「コスト」,「提案,業務分析,情報提供」,「製品/サービスの機能」,「導入後のサービス(保守,稼働継続)」,「企業規模や体制」,「ブランドや企業イメージ」,「過去の導入/利用実績」,「その他」の8つを提示。その中から,「利用したい」と感じる理由を最大3つまで選ぶよう求めた。そのベンダー/SIerを「利用したい」とした回答者数(無回答者を除く。図中のn)を100%として,それぞれの理由が選ばれた比率を集計した。
 今回の調査で30人以上から『利用したい理由』の回答が得られたベンダーは,今日の記事で紹介した5社と,アドビシステムズ,富士通,NEC,日本IBM,シスコシステムズ,日立製作所,サイボウズ,サン・マイクロシステムズ,レノボ・ジャパン,NTTコミュニケーションズ,トレンドマイクロ,シマンテック,SAPジャパン,キヤノン,KDDI,富士ゼロックス,リコー,オービックビジネスコンサルタント,ヴイエムウェア,NTTドコモ,セールスフォース・ドットコムの合計26社だった。
 評価対象企業全136社のリストは,本調査の設問の原文とともに,日経マーケット・アクセスの有償会員向けサイト「日経MA-INDEX 企業情報システム」で近日中に公開する予定。
 調査実施時期は2008年7月中旬,調査全体の有効回答は3062件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は1126件。

図●主な情報システム関連ベンダーに対する「利用したい」理由
図●主な情報システム関連ベンダーに対する「利用したい」理由
(回答数上位5社,n=135以上)