調査内容 主要SIerに対する「利用したい理由」(その2)
調査時期 2008年7月中旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 3062件(1126件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数


 日経マーケット・アクセスが企業情報システムの担当者(ITpro Researchモニター登録者)を対象に行った2008年7月調査で,「今後利用したい」という回答を得たシステム・インテグレーター(SIer)に対する「利用したい理由」を,「理由」を一つ以上明示した得票数30以上45未満の6社(伊藤忠テクノソリューションズ(CTC),NTT-ME,新日鉄ソリューションズ(NSSOL),富士通ビジネスシステム(FJB),NECソフト,日立電子サービス(電サ))について分析した。

NSSOLが「提案」で2回連続トップ

 得票数7位のCTCは,「製品/サービスの機能」が41.9%(前回2008年4月調査では35.6%)で7項目中最大。「提案、業務分析、情報提供」の32.6%も,前回得た33.9%は下回ったものの,30人以上から『利用したい理由』の回答が得られたSIer12社(「調査概要」参照)中2位の高率だ。一方,前回調査でCTCに対する『利用したい理由』の最大だった「導入後のサービス(保守,稼働継続)」は,今回32.6%(前回39.0%)で6.4ポイント低下している。

 「提案」でCTCを上回り12社のトップに立ったのは,得票数9位のNSSOL。前回2008年4月調査でもNTTデータを抑え「提案」でトップ(38.3%)の支持を得ていたが,今回さらに3.4ポイント上昇して41.7%,2位CTCに約9ポイントの大差を付けた。このほかNSSOLは,「企業規模や体制」での支持率が前回より約9ポイント・アップ(前回10.6%→今回19.4%で12社中2位)したのに対し,「ブランドや企業イメージ」は8ポイント低下(19.1%→11.1%)している。

FJBを『利用したい理由』で「実績」が50%超え

 今回12社のSIer中,唯一2項目のトップに立ったのが得票数11位のFJB。「過去の導入/利用実績」の51.4%(前回は25.0%)と「企業規模」の25.7%(同13.6%)で大きく支持が伸びた。

 得票数12位の電サは「導入後のサービス」(47.1%)でNECフィールディングと同率1位を獲得。前回も18社中2位(45.5%)でその強みを維持した形だ。しかし電サは今回調査で,「過去の実績」が前回より約16ポイントも拡大(34.1%→50.0%)し,「導入後のサービス」を上回って同社に対する『利用したい理由』の最大となった。

 FJB,電サとともに『利用したい理由』で「過去の実績」の比率が前回調査より急拡大したSIerがもう1社。得票数8位のNTT-MEで,電サを上回る約18ポイントのアップ(23.8%→41.5%)を記録している。前回のNTT-MEに対する『利用したい理由』は「導入後のサービス」が最大で,今回もその比率はさらにアップしている(28.6%→34.1%)が,「過去の実績」の41.5%を下回った。

 NECソフト(得票数10位)は『利用したい理由』の最大が前回と同じく「過去の実績」。だがその比率は約7ポイント低下(46.9%→40.0%)した。NECソフトで『利用したい理由』の比率が大きく上昇したのは「導入後のサービス」で,前回の20.4%から今回は28.6%。ただしNECソフトは,12社の平均値と比較すると7項目中6項目が平均以下。唯一NECソフトへの『利用したい理由』が12社の平均値より高いのは,「提案」の31.4%(前回は28.6%)で12社中4位に位置する。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に,情報通信製品/サービス・ベンダーとシステム・インテグレーター(SIer)の主要企業各68社について,職務(担当システム)の領域で「今後利用したい」と感じるかを聞き,「今後利用したい」とした回答者に,そのベンダー/SIerを「利用したい」と感じる理由をたずねた。
 選択肢は「コスト」,「提案,業務分析,情報提供」,「製品/サービスの機能」,「導入後のサービス(保守,稼働継続)」,「企業規模や体制」,「ブランドや企業イメージ」,「過去の導入/利用実績」,「その他」の8つを提示。その中から,「利用したい」と感じる理由を最大3つまで選ぶよう求めた。そのベンダー/SIerを「利用したい」とした回答者数(無回答者を除く。図中のn)を100%として,それぞれの理由が選ばれた比率を集計した。
 今回の調査で30人以上から『利用したい理由』の回答が得られたSIerは,今日の記事で紹介した6社と,大塚商会,NTTデータ,NECフィールディング,キヤノンマーケティングジャパン,富士通エフサス,日立情報システムズ(以上6社の結果は8月26日付け記事を参照)の合計12社だった。
 評価対象企業全136社のリストは,本調査の設問の原文とともに,日経マーケット・アクセスの有償会員向けサイト「日経MA-INDEX 企業情報システム」で近日中に公開する予定。
 調査実施時期は2008年7月中旬,調査全体の有効回答は3062件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は1126件。

図●主なシステム・インテグレータに対する「利用したい」理由
図●主なシステム・インテグレータに対する「利用したい」理由(回答数上位7~12位,n=30以上45未満