所属企業・組織で情報システムを担当していると明示した回答者に,担当している情報システムの範囲を聞いた(複数回答)。「全社の情報システム」を担当しているとした回答者の比率は,前回2008年6月調査(63.7%)とほぼ同じ64.0%だが,「部門~ワークグループの情報システム」の担当者の比率がやや下がった。「部門の情報システム」担当は前回(38.6%)より約1ポイント減,「事業所の情報システム」を担当している回答者も前回(28.0%)に比べて約1ポイント減。「ワークグループの情報システム」担当者の比率は前回調査から約3ポイント減の20.2%で,2006年12月調査の22.1%を下回り,この調査の初回2006年9月調査での14.4%に次ぐ低い比率だった。

図1●回答者のうち情報システム担当者の担当範囲(複数回答,n=1120)
図1●回答者のうち情報システム担当者の担当範囲(複数回答,n=1120)

 「担当業務のシステム・ライフサイクル上での段階」(担当・関与しているシステム業務の中心は,システム・ライフサイクルのどの段階に最も近いか,9つの選択肢から一択)で,最も多くの回答者が選んだのは今回も「運用/活用支援」(28.1%)。前回2008年6月調査で25.0%に下がったが,再び前々回2008年5月調査までと同じ27~29%のレンジに戻った。

 2番目に多いのも前回と同じ「システム戦略立案」の24.5%(前回23.6%,前々回26.0%)。「保守/修正/機能追加」14.3%(前回14.0%,前々回13.7%),「提案依頼/業者選定」12.5%(前回14.0%,前々回11.4%)までが10%以上で,5番目の「要求分析/要件定義」9.7%(前回12.0%,前々回10.2%)の比率が下がった。設計/実装/テスト/移行段階を主業務とした回答者は合計で10.7%(前回11.0%,前々回9.3%)だった。

図2-1●担当業務のシステム・ライフサイクル上での段階(n=1095)
図2-1●担当業務のシステム・ライフサイクル上での段階(n=1095)

 所属企業・組織で情報システムを担当していると明示した回答者に,担当分野を聞いた(複数回答)。全体として前回2008年6月調査からの変化は小さく,2ポイント以上増減したのは「セキュリティー」(前回41.3%→今回44.4%),「運用・危機対策系」(前回18.6%→今回21.0%),「ソフトウエア購入」(前回46.9%→今回49.0%),「CRM・顧客関連」(前回15.5%→今回13.5%)の4分野だけである。

 ただし今回は,「新規システム開発」を担当しているとした回答者の比率が,2006年9月の調査開始以来23回目で初めて30%台を割り込んだ。「新規開発」担当者の比率は,2007年11月調査で40.2%を記録するまで,概ね37~41%のレンジで推移していた。しかし2007年12月調査で37.3%,2008年1月調査で34.6%と急に低下。以後も微減傾向が続いて前回は30.5%,今回はついに29.9%となった。

◆注
 図中の「情報系システム」はグループウエアや情報共有システム,「ネットワーク系システム」はWAN,LAN,電話,「インターネット系システム」は情報発信,電子商取引,マーケティング関連のシステムを指すものとして回答を求めた。「運用・危機対策系システム」は/ビジネス・コンティニュイティ分野,「運用・保守開発」は信頼性向上やコストダウンを目的とするソフトの維持改良を含む。「ソフトウエア購入」はアプリケーション・ソフトやミドルウエアの購入を指すものとして回答を求めた。

図2-2●回答者のうち情報システム担当者の担当分野(複数回答,n=1126)
図2-2●回答者のうち情報システム担当者の担当分野(複数回答,n=1126)

 回答者のうち,自社の情報システム担当者の勤務先の業種,所在地,上場の有無,担当システムの利用就業者規模の比率は図示した通り。業種別は前回2008年6月調査とほぼ同じ比率で,「製造業」が31.6%(前回30.7%),「流通業」が9.2%(前回も9.2%),「サービス業」が41.2%(前回42.6%)。

 回答者の勤務先の所在地(脚注参照)は今回も「東京都」が最大。この「東京都」の比率は,回答者属性の中で毎回の変動幅が比較的大きい(2008年4月調査は39.8%,5月調査は36.4%,前回6月調査は39.1%)項目だが,今回は36.3%で前々回並みに戻った。「関東(東京を除く)」(前回15.6%→今回16.8%)以外は1ポイント以内の微増減である。

 回答者の担当しているシステムの利用者規模は,“小規模”(利用者300人未満)の回答者の比率が前回調査で48.2%に低下したが,今回は50.3%で前々回(50.7%)並みに戻った。300人以上1000人未満の“中規模”は微減(4月調査18.1%→前々回19.1%→前回19.8%→今回18.6%)。1000人以上の“大規模”担当者の比率がやや減少している(4月調査30.1%→前々回29.3%→前回31.4%→今回29.9%)。

◆注
 本文中の「製造業」は「機械製造」,「コンピュータ,周辺機器製造」,「その他電気・電子機器製造」,「上記3種以外の製造業」を合計した。
 「サービス業」は「サービス業(マスコミ,広告,デザイン,飲食店,その他)」,「専門サービス(弁護士/会計士など)」,「金融/証券/保険業」,「運輸/エネルギー」,「通信サービス」,「情報処理/ソフトウエア/SI・コンサルティング/VAR」の合計。
 「流通業」は「商社」,「コンピュータ関連販売」,「上記2種以外の流通/小売」の合計である。
 本調査で有効回答としている「情報システム担当者」は,所属する企業・組織で,『自社業務の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当』している人を指す。対象は全社システムに限らず,部門や事業所・拠点内の小規模な情報システムも含む。勤務先の所在地は,「全社の情報システム」の担当者は本社の,それ以外は担当の「事業所」「部門」「ワークグループ」の所在地を回答してもらった。
 所属が情報システム子会社でも,親会社のためではなく『自社の業務遂行のために行う自社の情報システムにかかわる業務を担当』していれば,本調査での「情報システム担当者」に該当するものとした。

図3-1●回答者のうち情報システム担当者の所属企業・組織の業種(n=1126)
図3-1●回答者のうち情報システム担当者の所属企業・組織の業種(n=1126)

図3-2●回答者のうち情報システム担当者の所属企業の所在地(n=1126)
図3-2●回答者のうち情報システム担当者の所属企業の所在地(n=1126)

図3-3●回答者のうち情報システム担当者の所属企業・組織の上場の有無(n=1126)
図3-3●回答者のうち情報システム担当者の所属企業・組織の上場の有無(n=1126)

図3-4●回答者のうち情報システム担当者の所属企業・組織の担当システムの利用就業者規模(n=1126)
図3-4●回答者のうち情報システム担当者の所属企業・組織の担当システムの利用就業者規模(n=1126)