所属企業・組織で自社の情報システムを担当していると明示した回答者に,担当している情報システムの範囲を聞いた(複数回答)。前回2008年4月調査に比べると,「全社の情報システム」を担当しているとした回答者の比率が約5ポイント増加し,前々回2008年3月調査(70.3%)まで6カ月連続していた65%超の水準に戻った。逆に「部門の情報システム」担当(前回は40.2%,前々回は38.5%)が4ポイント弱の減少,「事業所の情報システム」(前回29.2%,前々回31.5%),「ワークグループの情報システム」担当(前回24.1%,前々回22.7%)も微減である。

図1●自社の情報システム担当者の担当範囲(複数回答,n=1048)

 「担当業務のシステム・ライフサイクル上での段階」(担当・関与しているシステム業務の中心は,システム・ライフサイクルのどの段階に最も近いか,9つの選択肢から一択)の比率は,今回も「運用/活用支援」が最も多く28.9%(前回2008年4月調査は27.1%,2008年3月調査は27.7%,2008年2月調査は27.2%)。2番目に多い「システム戦略立案」も増加傾向で,今回は26.0%(前回24.5%,2008年3月調査23.4%,2008年2月調査22.7%)と4分の1を超えた。

 やや水が開いて「保守/修正/機能追加」の13.7%(同13.1%,15.4%,14.9%)は微増。「提案依頼/業者選定」の11.4%(同12.9%,11.1%,12.8%),「要求分析/要件定義」の10.2%(同11.3%,11.6%,11.0%),設計/実装/テスト/移行段階の合計9.3%(同11.1%,10.5%,11.0%)は,それぞれ約1~2ポイント比率が下がった。

図2-1●自社の情報システム担当者のシステム・ライフサイクル上での段階(n=1023)

 所属企業・組織で自社の情報システムを担当している,と明示した回答者に担当分野を聞いた(複数回答)。ほとんどの分野が前回2008年4月調査と2ポイント以内の差で変化は小さいが,インフラ7分野(「その他」を除く)上位の「情報系」「ネットワーク系」担当の比率が前回より約5ポイント,「ハード購入」も前回から約4ポイント増えている。

◆注
 図中の「情報系システム」はグループウエアや情報共有システム,「ネットワーク系システム」はWAN,LAN,電話,「インターネット系システム」は情報発信,電子商取引,マーケティング関連のシステムを指すものとして回答を求めた。「運用・危機対策系システム」は/ビジネス・コンティニュイティ分野,「運用・保守開発」は信頼性向上やコストダウンを目的とするソフトの維持改良を含む。「ソフトウエア購入」はアプリケーション・ソフトやミドルウエアの購入を指すものとして回答を求めた。

図2-2●自社の情報システム担当者の担当分野(複数回答,n=1050)

 回答者のうち,自社の情報システム担当者の勤務先の業種,所在地,上場の有無,担当システムの利用就業者規模の比率は図示した通り。業種別では,2007年第4四半期の3回の調査では約30%,2008年第1四半期の3回の調査では約35%,前回2008年4月調査で再び30.5%に戻っていた「製造業」の回答者の比率が,今回は34.3%に上昇。「流通業」は10.9%(前回10.1%,前々回3月調査は10.5%)でほぼ変わらず。「サービス業」は前回42.1%に急増したが,今回は36.4%で前々回調査の34.8%,2月調査の34.3%の水準にほぼ戻った。

 ちなみに今回の2008年5月調査で「グリーンIT」関連の設問の有効回答に含めた「他社(顧客企業,親会社など)のシステム業務を担当」している回答者の所属業種は,「情報処理/ソフトウエア/SI・コンサルティング/VAR」が76.0%で圧倒的に多く,製造業は10.5%,流通業は1.9%である。

 回答者の勤務先の所在地(脚注参照)は今回も「東京都」が最大だが,ややその比率が低下(36.4%,前回39.8%,前々回39.9%)。「関東(東京を除く)」(前々回15.2%→前回16.1%→今回16.0%)は変わらず,「東海・北陸・甲信越」(14.2%→14.3%→15.4%)と「近畿」(14.8%→14.1%→15.5%)がやや増えた。

 回答者の担当しているシステムの利用者規模は,“小規模”(利用者300人未満)の回答者の比率が,前回(51.0%)とほぼ同じ50.7%。300人以上1000人未満の“中規模”が1ポイント増の19.1%(前回は18.1%)。1000人以上の“大規模”担当者の比率は前回の30.1%から微減の29.3%である。

 ちなみに「他社システムを担当」している回答者に聞いた利用者規模は“小規模”が36.2%,“中規模”が20.0%,“大規模”が42.9%。“中規模”の比率はあまり変わらないが,“大規模”が「自社システム担当」の回答者より顕著に多く,“小規模”が少ない。

◆注
 本文中の「製造業」は「機械製造」,「コンピュータ,周辺機器製造」,「その他電気・電子機器製造」,「上記3種以外の製造業」を合計した。
 「サービス業」は「サービス業(マスコミ,広告,デザイン,飲食店,その他)」,「専門サービス(弁護士/会計士など)」,「金融/証券/保険業」,「運輸/エネルギー」,「通信サービス」,「情報処理/ソフトウエア/SI・コンサルティング/VAR」の合計。
 「流通業」は「商社」,「コンピュータ関連販売」,「上記2種以外の流通/小売」の合計である。
 本調査で有効回答としている「情報システム担当者」は,所属する企業・組織で,『自社業務の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当』している人を指す。対象は全社システムに限らず,部門や事業所・拠点内の小規模な情報システムも含む。勤務先の所在地は,「全社の情報システム」の担当者は本社の,それ以外は担当の「事業所」「部門」「ワークグループ」の所在地を回答してもらった。
 所属が情報システム子会社でも,親会社のためではなく『自社の業務遂行のために行う自社の情報システムにかかわる業務を担当』していれば,本調査での「情報システム担当者」に該当するものとした。なお,今回の2008年5月調査の結果報告で「グリーンIT」関連の設問(6月10日付け記事など)については,「他社(顧客企業、親会社など)の情報システムにかかわる仕事をしている」とした回答者も有効回答に含めて集計している。

図3-1●回答者のうち情報システム担当者の所属企業・組織の業種(n=1051)

図3-2●回答者のうち情報システム担当者の所属企業の所在地(n=1051)

図3-3●回答者のうち情報システム担当者の所属企業・組織の上場の有無(n=1051)

図3-4●回答者のうち情報システム担当者の所属企業・組織の担当システムの利用就業者規模(n=1051)