所属企業・組織で情報システムを担当していると明示した回答者に,担当している情報システムの範囲を聞いた(複数回答)。2007年8月調査以来前回2008年1月調査まで,この「担当範囲」はほとんど各回答の比率が1~2ポイント以内の比較的小さな変化で推移してきたが,今回は前回2008年1月調査より「全社の情報システム」の担当者の比率が4.6ポイント拡大して70%を超えた。「部門の情報システム」担当,「事業所の情報システム」担当者の比率は前回と1ポイント前後の違いだが,「ワークグループの情報システム」を担当している回答者の比率は前回より3.2ポイント減少した。

図1●回答者のうち情報システム担当者の担当範囲(複数回答,n=1276)

 今回の2008年2月調査から回答者の属性情報として,「担当業務のシステム・ライフサイクル上での段階」(担当・関与しているシステム業務の中心は,システム・ライフサイクルのどの段階に最も近いか,9つの選択肢から一択)についての集計結果もここでご紹介する。最も多くの回答者が選んだのは「運用/活用支援」で27.2%(前回2008年1月調査では26.8%)。次いで「システム戦略立案」の22.7%(同23.1%),「保守/修正/機能追加」の14.9%(同15.8%),「提案依頼/業者選定」の12.8%(11.4%),「要求分析/要件定義」の11.0%までが10%以上。設計/実装/テスト/移行段階を主業務とした回答者が合計で11.0%となっている。ライフサイクルの前寄りの担当者が45%強,後寄りの担当者が45%弱,中盤の担当者が約1割という比率だ。

図2-1●担当業務のシステム・ライフサイクル上での段階(n=1191)

 所属企業・組織で情報システムを担当していると明示した回答者に,担当分野を聞いた(複数回答)。前々回2007年12月調査までと比べて,前回2008年1月調査では全般的に担当分野についての回答率が下がったが,今回は反転して回答率が上昇している。

 業務(アプリケーション)系8分野(「その他」を除く)では,今回も最多は会計システムを担当しているとした回答者で24.2%(前回は23.9%)。概ね前回調査と比べて2ポイント以内の増減だが,「CRM・顧客関連」(今回16.9%,前回14.2%)がやや大きく比率を上げている。

 業務横断的なシステムのインフラ7分野(「その他」を除く)は,「情報系」と「ネットワーク系」と「ストレージ系」が前回調査より約3~4ポイント,「セキュリティー」と「インターネット系」が約5ポイント増えた。ハード購入担当者の比率は前回調査より約5ポイント,ソフト購入担当も約4ポイント増加した。

 一方,前回調査で前々回調査との変化が小さかった「新規システム開発」,「既存システムの再構築」,「運用・保守開発」の担当者の比率は,今回も前回調査とあまり変化していない(順に1.9ポイント増,0.3ポイント減,1.3ポイント増)。

◆注
 図中の「情報系システム」はグループウエアや情報共有システム,「ネットワーク系システム」はWAN,LAN,電話,「インターネット系システム」は情報発信,電子商取引,マーケティング関連のシステムを指すものとして回答を求めた。「運用・危機対策系システム」は/ビジネス・コンティニュイティ分野,「運用・保守開発」は信頼性向上やコストダウンを目的とするソフトの維持改良を含む。「ソフトウエア購入」はアプリケーション・ソフトやミドルウエアの購入を指すものとして回答を求めた。

図2-2●回答者のうち情報システム担当者の担当分野(複数回答,n=1279)

 回答者のうち情報システム担当者の勤務先の業種,所在地,上場の有無,担当システムの利用就業者規模の比率は図示した通り。最近の本調査の中では前回2008年1月調査に続いて「製造業」の回答者の比率が高めとなった。

 業種別では,「製造業」が今回も3分の1を超えて34.6%(前回は34.3%,前々回2007年12月調査は30.5%,2007年11月調査は30.4%,2007年10月調査では30.8%,2007年9月調査では29.5%)を占めた。「流通業」は11.3%(同9.4%,10.1%,12.7%,11.2%,9.9%)。「サービス業」の回答者が今回はやや少なく34.3%(同38.9%,39.5%,39.8%,40.5%,42.4%)。特に「情報処理/ソフトウエア/SI・コンサルティング/VAR」業種の回答者が前回より約5ポイント少ない18.6%(同23.4%,25.9%,24.4%,26.8%,27.4%)なのが特徴だ。

 回答者の担当しているシステムの利用者規模は,300人未満が今回も前回に続いてやや少なく49.3%(同49.4%,53.5%,51.5%,51.3%,53.2%)。300人以上1000人未満は20.4%(同18.8%,17.8%,20.0%,18.8%,17.9%)。1000人以上の比率は29.5%(同30.2%,27.5%,27.3%,28.6%,28.2%),上場企業の比率は31.0%(同33.0%,27.3%,28.5%,28.1%,28.6%)。

 回答者の勤務先の所在地(脚注参照)は前回とあまり変わらず,今回も4割弱が「東京都」。次いで「関東(東京都を除く)」と「近畿」と「東海・北陸・甲信越」がそれぞれ15%前後を占めている。今回は前回に比べて「近畿」(前回14.7%→今回16.3%),「東海・北陸・甲信越」(14.6%→15.9%)の回答の比率がやや増え,「関東」(17.1%→14.1%)の回答の比率がやや減った。

◆注
 本文中の「製造業」は「機械製造」,「コンピュータ,周辺機器製造」,「その他電気・電子機器製造」,「上記3種以外の製造業」を合計した。
 「サービス業」は「サービス業(マスコミ,広告,デザイン,飲食店,その他)」,「専門サービス(弁護士/会計士など)」,「金融/証券/保険業」,「運輸/エネルギー」,「通信サービス」,「情報処理/ソフトウエア/SI・コンサルティング/VAR」の合計。
 「流通業」は「商社」,「コンピュータ関連販売」,「上記2種以外の流通/小売」の合計である。
 なお,本調査で有効回答としている「情報システム担当者」は,所属する企業・組織で,『自社業務の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当』している人を指す。対象は全社システムに限らず,部門や事業所・拠点内の小規模な情報システムも含む。勤務先の所在地は,「全社の情報システム」の担当者は本社の,それ以外は担当の「事業所」「部門」「ワークグループ」の所在地を回答してもらった。
 所属が情報システム子会社でも,親会社のためではなく『自社の業務遂行のために行う自社の情報システムにかかわる業務を担当』していれば,本調査での「情報システム担当者」に該当するものとした。

図3-1●回答者のうち情報システム担当者の所属企業・組織の業種(n=1279)

図3-2●回答者のうち情報システム担当者の所属企業の所在地(n=1279)

図3-3●回答者のうち情報システム担当者の所属企業・組織の上場の有無(n=1279)

図3-4●回答者のうち情報システム担当者の所属企業・組織の担当システムの利用就業者規模(n=1279)