所属企業・組織で情報システムを担当していると明示した回答者に,担当している情報システムの範囲を聞いた(複数回答)。今回も前回2008年2月調査とほぼ同じく,約70%の回答者が「全社の情報システム」,4割弱が「部門の情報システム」担当,3割強が「事業所の情報システム」,2割強が「ワークグループの情報システム」を担当している。「部門」が前回調査での値より1.3ポイント減,残り3分野は1ポイント以内の微増だった。

図1●回答者のうち情報システム担当者の担当範囲(複数回答,n=1173)

 「担当業務のシステム・ライフサイクル上での段階」(担当・関与しているシステム業務の中心は,システム・ライフサイクルのどの段階に最も近いか,9つの選択肢から一択)で,最も多くの回答者が選んだのは今回も「運用/活用支援」で27.7%(前回2008年2月調査では27.2%)。次いで「システム戦略立案」の23.4%(同22.7%),「保守/修正/機能追加」の15.4%(同14.9%),「要求分析/要件定義」の11.6%(同11.0%),「提案依頼/業者選定」の11.1%(12.8%)の順。設計/実装/テスト/移行段階を主業務とした回答者は合計で10.5%(同11.0%)だった。前回と比率はほぼ同じで,ライフサイクルの前寄りの担当者が約46%,後寄りの担当者が約43%,中盤の担当者が約1割を占めている。

図2-1●担当業務のシステム・ライフサイクル上での段階(n=1092)

 所属企業・組織で情報システムを担当していると明示した回答者に,担当分野を聞いた(複数回答)。前回2008年2月調査と比較すると,全般的に担当分野についての回答率がかなり大きく下がっている。

 業務(アプリケーション)系8分野(「その他」を除く)では,今回も最多は会計システムを担当しているとした回答者で25.3%(前回は24.2%)。次いで生産管理システムの20.4%(同19.5%)。前回調査と比べて比率を上げたのは図2-2に挙げた全分野のうちこの2つだけである。業務系の残り6分野は前回より0.6~2.5ポイント減。特に「物流」(今回13.2%,前回15.7%)の減少幅が大きい。

 業務横断的なシステムのインフラ7分野(「その他」を除く)は前回調査より2.8~4.1ポイント減。特に大きく下げたのは「セキュリティー」(今回43.8%,前回47.9%)と「ストレージ系」(今回28.9%,前回32.5%)である。

 「新規システム開発」,「既存システムの再構築」,「運用・保守開発」の担当者の比率も前回調査より2.7~5.8ポイント減。「運用・保守開発」(今回39.2%,前回45.0%)が最も大きく比率を下げている。

 「ハード購入」「ソフト購入」担当は図中の全分野で最も大きく比率を下げた。「ハード」は前回より8.1ポイント,「ソフト」は8.4ポイント減である。過去最低だった前々回2008年1月調査(ハード購入担当55.2%,ソフト購入担当52.0%)をともに下回り,2006年9月の調査開始以来最低の比率となった。

◆注
 図中の「情報系システム」はグループウエアや情報共有システム,「ネットワーク系システム」はWAN,LAN,電話,「インターネット系システム」は情報発信,電子商取引,マーケティング関連のシステムを指すものとして回答を求めた。「運用・危機対策系システム」は/ビジネス・コンティニュイティ分野,「運用・保守開発」は信頼性向上やコストダウンを目的とするソフトの維持改良を含む。「ソフトウエア購入」はアプリケーション・ソフトやミドルウエアの購入を指すものとして回答を求めた。

図2-2●回答者のうち情報システム担当者の担当分野(複数回答,n=1174)

 回答者のうち情報システム担当者の勤務先の業種,所在地,上場の有無,担当システムの利用就業者規模の比率を図3-1~図3-4に示した。業種別(図3-1)では前々回の2008年1月調査以来3回連続で「製造業」の回答者の比率が高めとなった。

 業種別では,「製造業」が35.1%(前回は34.6%,2008年1月調査は34.3%,2007年12月調査は30.5%,2007年11月調査は30.4%,2007年10月調査では30.8%)。「流通業」は10.5%(同11.3%,9.4%,10.1%,12.7%,11.2%)であまり変化がない。

 「サービス業」の回答者は前回に続いてやや少なく34.8%(同34.3%,38.9%,39.5%,39.8%,40.5%)。前回同様「情報処理/ソフトウエア/SI・コンサルティング/VAR」業種の回答者の比率が最近の本調査の中では低めの17.8%(同18.6%,23.4%,25.9%,24.4%,26.8%)だ。

 回答者の担当しているシステムの利用者規模(図3-4)も,前々回の2008年1月調査から3回連続で“小規模”(利用者300人未満)がそれ以前よりやや低め。今回は48.0%(同49.3%,49.4%,53.5%,51.5%,51.3%)。300人以上1000人未満は19.3%(同20.4%,18.8%,17.8%,20.0%,18.8%)でほぼ横ばい。利用者1000人以上の“大規模”システム担当者の比率は31.7%(同29.5%,30.2%,27.5%,27.3%,28.6%)とやや高めで,特に「1万人以上」の最大規模を選んだ回答者の比率が前回より1.2ポイント上昇している。上場企業の比率(図3-3)も2008年1月調査からやや上昇したレベルが続いており,今回は32.5%(同31.0%,33.0%,27.3%,28.5%,28.1%)だった。

 回答者の勤務先の所在地(図3-2)は,今回も4割弱が「東京都」。次いで「関東(東京都を除く)」と「近畿」と「東海・北陸・甲信越」がそれぞれ15%前後を占めている。今回は「近畿」(前回16.3%→今回14.8%),「東海・北陸・甲信越」(15.9%→14.2%)の回答の比率がやや減り,「東京都」(38.5%→39.9%)と「関東」(14.1%→15.2%)の回答の比率がやや増えた。

◆注
 本文中の「製造業」は「機械製造」,「コンピュータ,周辺機器製造」,「その他電気・電子機器製造」,「上記3種以外の製造業」を合計した。
 「サービス業」は「サービス業(マスコミ,広告,デザイン,飲食店,その他)」,「専門サービス(弁護士/会計士など)」,「金融/証券/保険業」,「運輸/エネルギー」,「通信サービス」,「情報処理/ソフトウエア/SI・コンサルティング/VAR」の合計。
 「流通業」は「商社」,「コンピュータ関連販売」,「上記2種以外の流通/小売」の合計である。
 なお,本調査で有効回答としている「情報システム担当者」は,所属する企業・組織で,『自社業務の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当』している人を指す。対象は全社システムに限らず,部門や事業所・拠点内の小規模な情報システムも含む。勤務先の所在地は,「全社の情報システム」の担当者は本社の,それ以外は担当の「事業所」「部門」「ワークグループ」の所在地を回答してもらった。
 所属が情報システム子会社でも,親会社のためではなく『自社の業務遂行のために行う自社の情報システムにかかわる業務を担当』していれば,本調査での「情報システム担当者」に該当するものとした。

図3-1●回答者のうち情報システム担当者の所属企業・組織の業種(n=1174)

図3-2●回答者のうち情報システム担当者の所属企業の所在地(n=1174)

図3-3●回答者のうち情報システム担当者の所属企業・組織の上場の有無(n=1174)

図3-4●回答者のうち情報システム担当者の所属企業・組織の担当システムの利用就業者規模(n=1174)