所属企業・組織で情報システムを担当していると明示した回答者に,担当している情報システムの範囲を聞いた(複数回答)。「全社の情報システム」を担当しているとした回答者の比率が,前回2008年5月調査に比べて4ポイント減の63.7%。前々回2008年4月調査の62.5%に近く,ここ半年ほどの本調査の中ではやや低めの比率だった。「部門の情報システム」担当は前回より2ポイント増。「事業所の情報システム」,「ワークグループの情報システム」は0.5ポイント以内の微減,微増だった。

図1●回答者のうち情報システム担当者の担当範囲(複数回答,n=1205)

 「担当業務のシステム・ライフサイクル上での段階」(担当・関与しているシステム業務の中心は,システム・ライフサイクルのどの段階に最も近いか,9つの選択肢から一択)で,最も多くの回答者が選んだのは今回も「運用/活用支援」で25.0%。ただし前回2008年5月調査の28.9%など,年初2008年1月調査以来27%前後で推移してきたところから見ると,今回はやや低めの比率となった。

 次いで多いのは「システム戦略立案」の23.6%(前回26.0%)。前回11.4%だった「提案依頼/業者選定」が今回は14.0%に増え,「保守/修正/機能追加」(同13.7%)と同率3位,5番目は「要求分析/要件定義」の12.0%(同10.2%)。設計/実装/テスト/移行段階を主業務とした回答者は合計で11.0%(同9.3%)だった。

図2-1●担当業務のシステム・ライフサイクル上での段階(n=1172)

 所属企業・組織で情報システムを担当していると明示した回答者に,担当分野を聞いた(複数回答)。前回2008年5月調査と比較すると,全体的に見ると担当分野についての回答率がやや下がった。特にインフラ7分野(「その他」を除く)上位の「情報系」「ネットワーク系」担当の比率が前回より約5ポイント低下。「ハード購入」も約5ポイント減少し,前々回2008年4月調査での比率に近くなっている。

 「新規システム開発」担当者の30.5%は,前回5月調査の32.6%,2006年10月調査の32.4%を下回り,本調査開始以来最も低い比率。「既存システムの再構築」の32.3%,「運用・保守開発」の36.2%も過去最低の水準である。

◆注
 図中の「情報系システム」はグループウエアや情報共有システム,「ネットワーク系システム」はWAN,LAN,電話,「インターネット系システム」は情報発信,電子商取引,マーケティング関連のシステムを指すものとして回答を求めた。「運用・危機対策系システム」は/ビジネス・コンティニュイティ分野,「運用・保守開発」は信頼性向上やコストダウンを目的とするソフトの維持改良を含む。「ソフトウエア購入」はアプリケーション・ソフトやミドルウエアの購入を指すものとして回答を求めた。

図2-2●回答者のうち情報システム担当者の担当分野(複数回答,n=1207)

 回答者のうち,自社の情報システム担当者の勤務先の業種,所在地,上場の有無,担当システムの利用就業者規模の比率は図示した通り。業種別では,前回2008年5月調査で34.3%だった「製造業」の回答者の比率が,今回は30.7%で,前々回2008年4月調査(30.5%)に近い値に低下。「流通業」は9.2%で前回の10.9%,前々回の10.1%から微減。「サービス業」は前々回の42.1%,前回の36.4%に対し今回は42.6%で,やはり前々回2008年4月調査に近い比率を示した。

 回答者の勤務先の所在地(脚注参照)は今回も「東京都」が最大。前回ややその比率が低下(36.4%,前々回39.8%,3月調査は39.9%)していたが,今回は39%台に戻った。「東海・北陸・甲信越」(前々回14.3%→前回15.4%→今回13.8%)の回答者の比率がやや下がっている。

 回答者の担当しているシステムの利用者規模は,“小規模”(利用者300人未満)の回答者の比率が,前回(50.7%)前々回(51.0%)よりやや低い48.2%。300人以上1000人未満の“中規模”が微増(前々回18.1%→前回19.1%→今回19.8%)。1000人以上の“大規模”担当者の比率も微増(前々回30.1%→前回29.3%→今回31.4%)だ。

◆注
 本文中の「製造業」は「機械製造」,「コンピュータ,周辺機器製造」,「その他電気・電子機器製造」,「上記3種以外の製造業」を合計した。
 「サービス業」は「サービス業(マスコミ,広告,デザイン,飲食店,その他)」,「専門サービス(弁護士/会計士など)」,「金融/証券/保険業」,「運輸/エネルギー」,「通信サービス」,「情報処理/ソフトウエア/SI・コンサルティング/VAR」の合計。
 「流通業」は「商社」,「コンピュータ関連販売」,「上記2種以外の流通/小売」の合計である。
 本調査で有効回答としている「情報システム担当者」は,所属する企業・組織で,『自社業務の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当』している人を指す。対象は全社システムに限らず,部門や事業所・拠点内の小規模な情報システムも含む。勤務先の所在地は,「全社の情報システム」の担当者は本社の,それ以外は担当の「事業所」「部門」「ワークグループ」の所在地を回答してもらった。
 所属が情報システム子会社でも,親会社のためではなく『自社の業務遂行のために行う自社の情報システムにかかわる業務を担当』していれば,本調査での「情報システム担当者」に該当するものとした。

図3-1●回答者のうち情報システム担当者の所属企業・組織の業種(n=1207)

図3-2●回答者のうち情報システム担当者の所属企業の所在地(n=1207)

図3-3●回答者のうち情報システム担当者の所属企業・組織の上場の有無(n=1207)

図3-4●回答者のうち情報システム担当者の所属企業・組織の担当システムの利用就業者規模(n=1207)