米IBMが,シリコン・ゲルマニウム(SiGe)バイポーラCMOS(BiCMOS)の新製造技術「8HP」と,その低コスト版「8WL」を米国時間8月5日に発表した。130nmプロセス・ルールを採用しており,現行の180nm版SiGe CMOSよりも消費電力が少ないうえ,処理速度は2倍高いという。

 8HPで製造したLSIを使用すると,モバイル機器や無線通信機器の価格を下げると同時に,車載用の衝突防止レーダーといった新たな装置も実現できる。応用例として,IBM社は60GHz帯を使う無線ネットワーク向けLSIや,ソフトウエア無線技術による携帯電話機などを挙げる。

 一方8WLは,特にバッテリで長時間駆動させる無線通信機器を想定した技術。さらに同社は「携帯電話機の機能を高め,無線LANやGPS技術の普及に貢献する」と述べる。

 そのほかの両技術の主な仕様は以下の通り。

・エミッタ幅:120nm
・遮断周波数(fT):200GHz(8HP),100GHz(8WL)
・動作電圧:1.5V,2.5V

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