米IBMが,地域の政府/教育機関/企業などの活動をグリッド・コンピューティング技術やLinuxなどのオープン標準技術で支援する取り組み「Economic Development Grid」を,米国時間5月18日に発表した。第一弾の活動として,オハイオ州クリーブランドでグリッド・コンピューティング・インフラの構築を行った。

 クリーブランドでの作業については,同地域の活性化のためにブロードバンド・ネットワーク・サービスを提供する非営利団体OneClevelandが協力した。OneClevelandの運営資金は,サービスを利用する地元政府,教育/研究/医療機関,非営利組織が提供している。

 IBM社とOneClevelandは共同調査を実施し,グリッド・コンピューティング・インフラを導入することで恩恵を受ける分野として4つのコミュニティを選んだ。各コミュニティ向けに構築したグリッド・コンピューティング・インフラの概要は以下の通り。

・Healthcare Collaborative Grid:
 複数の病院で情報を共有し,最終的には医療専門家が協力することで治療の質向上を目指す

・Public Information Grid:
 地元政府の情報を住民に配信するためのインフラ

・K-12 Outreach Grid:
 K-12教育機関(幼稚園から高校まで)にさまざまな教育関連リソースを提供し,教師/授業のレベルアップを図る

・Higher Education Collaborative Grid:
 高等教育機関向けの遠隔学習用インフラ。最終的には,オハイオ州内の大学に通うことが難しい遠隔地の学生に対し,学習の機会を提供する

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