米IDCは,世界グリッド・コンピューティング市場の今後の展望について調査した結果を米国時間4月20日,発表した。2007年の世界グリッド・コンピューティング市場は,高性能コンピューティング(HPC)分野から商用分野などでの利用が進み,売上高が120億ドル以上に達する見込みである。

 売上高の増加を後押しするのは,グリッド・ソフトウエアの成熟化と標準化,ITインフラの効率的利用を図るエンド・ユーザー,グリッド・コンピューティングに対する認知度の向上,従来のHPC分野以外での利用増など。

 「グリッド・コンピューティングがHPC分野を飛び出し,商用データ・センターなどで広く利用されるようになると,IT環境を次のレベルに進化させる可能性がある。グリッド技術は徐々に,ミッション・クリティカル以外の分野での初期導入が始まり,ITインフラ全般に根をおろすだろう」(IDC,Workstations and High Performance Computing Systems部門担当リサーチ・マネージャの John Humphreys氏)

 その他の主な調査結果は次の通り。

・グリッド・コンピューティング市場は,「計算」「データ」「最適化」の3つの分野に分かれつつある。

・現在,グリッド技術が主に利用されているのは「計算」の分野で,その用途も限定されている。

・グリッド技術を用いて,広範なビジネス・サービスのリソースをプールし,それを適宜割り当てるといった使い方が注目を集めている。

 「グリッド・コンピューティング市場が持つ潜在性は大きいが,リソースの共有に対する懸念といった課題にも対応していく必要がある」(IDC)

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