米国の調査会社451 Groupは,グリッド・コンピューティングのソフトウエア・ライセンスに関する調査結果を米国時間3月17日に発表した。それによると,エンタープライズ・アプリケーションの従来の使用コンセプトをもとに開発されている現行ソフトウエア・ライセンス・モデルが,グリッド・コンピューティング導入を妨げているという。

 調査は,20社以上のベンダーを対象に,ケース・スタディや,ライセンスのさまざまな問題に関する比較検討などを実施したもの。

 企業のIT部門は,グリッド・コンピューティングで用いるプロセサやデバイスごとにソフトウエア・ライセンスを購入する余裕がないとしている。グリッドは本質的にリソースを動的に消費するが,ソフトウエア・ライセンスの大半はこのやり方に対応できていないという。「この現実が,グリッド・コンピューティングのプログラムのROI(投資回収率)を歪めてしまい,導入の大きな妨げとなっている」(同社)

 このようなソフトウエア・ライセンスの問題点を回避するため,一部の企業では以下のような取り組みを実施しているという。

・内製アプリケーションを使用する(大半はオープンソース・ソフトウエアがベース)
・ベンダーとカスタマイズ契約を交渉する
・1つまたは2つの基幹アプリケーションについて,特別料金を支払う

 グリッド・コンピューティングの導入が増えるとともに,ライセンス・モデルの改善や,同モデルの支援体制を求める声が高まる。従来のライセンス管理モデルや価格体系は問題が多く,グリッド上で商用アプリケーションを稼働する企業にとって非常に高価となることから,企業のIT幹部はソフトウエアの購入・使用方法にさらなるフレキシビリティを求めることになる。

 同社は「新たな購入モデルが市場に登場しており,ベンダーのライセンス・ポリシーや慣習に大幅に影響を与えるような変化が起こりつつある」としている。「グリッド向けのソフトウエア・ライセンスでは,事業目標に応じてソフトウエア・ライセンスを事前に管理する機能が必要となる」(同社)

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