米New Millennium Research Council(NMRC)は米国時間2月24日,米国における電源線を介した広帯域接続(BPL:Broadband over Power Line)サービスの今後の展望について調査した結果を発表した。それによると,米国ではBPLの試験サービスや商用サービスが増えており,現在20以上のプロジェクトが稼働中である。また2004年は,同サービスを利用できる世帯数が約25万世帯だったが,2005年にはさらに増える見通しという。

 現在,多数の電力会社が広帯域接続や電源線を介したVoIPなど,高度な通信サービスの提供に向けて,技術導入を進めている。BPLは,遠隔地に高品質のサービスを提供できる選択肢として,広帯域市場の様相を大きく変えることになるだろう。

 BPLは比較的新しい技術だが,米Ambient Technologiesがニューヨーク市の一部で,米Communication Technologies(COMTek)がバージニア州のマナッサス全域でBPLサービスを提供している。

 COMTek社社長兼CEOのJoseph E. Fergus氏は,「BPLは単なる机上の論理から,現実のサービスとなった。サービス提供エリアを最大限確保するために,ほかの広帯域サービスと併用されるケースもあるだろう。しかし,BPLが現実的な選択肢として存在し,2005年以降多くの消費者や企業に利用されることは間違いない」と述べた。

 またワシントン州立大学,電気工学教授のRobert Olsen氏は,「BPLによって,DSLやケーブル・モデムに匹敵するサービスを提供することは充分に可能だ。しかし,BPLが両者を上回るデータ転送速度を実現するには,多額の投資を行って電力システムを最適化する必要があるだろう」と指摘した。

◎関連記事
米通信会社が電源線を利用した広帯域接続の商用サービスを開始
電力線を利用するネットワーク・デバイスの最新版を米Phonex Broadbandが発表
Cisco,3Com,Intel,TIなど,電源線利用の家庭内ネットワークで業界団体
松下が家庭の電源線使うIPネット技術を発表,「光ファイバ並みの超高速接続を手頃な価格で」
米SMC,HomePlug対応のネットワーク・アダプタ2製品とスターター・キットを発表
家庭内ネットワークの世界市場,電源線や無線利用が台頭し5年で5倍に
民生機器の業界団体,電源線利用の家庭内ネットワークを今年中に標準化へ
電源線使う家庭内ネットワークの業界団体HomePlugが仕様「1.0」をリリース

[発表資料へ]