米ABI(Allied Business Intelligence)が世界の家庭内ネットワーク市場を調査分析した。それによると1999年に1億3400万ドル規模だった市場は,2000年に4億9500万ドル,2005年には24億ドル規模に達するという。

 これまで家庭内ネットワークと言えば電話線を使ったソリューションが主流で,1999年における家庭内LAN機器の出荷台数の77%が電話線利用のものだった。しかし今後は無線や電源線を使ったものが台頭するという。

 電話線利用が普及している要因には,低コスト,高性能,標準化(HomePNA)が進んだことがあるという。しかし無線や電源線は今後電話線に取って代わるソリューションになると同社は分析する。

 「家庭内ネットワーク技術は今後さまざまな機器に実装されるようになり,対応機器は家庭の至る所に置かれるようになる。そうなると無線や電源線の必要性が出てくる。電話線ジャックが少ない米国以外の国ではなおさら」(ABI社上級アナリストのNavin Sabharwal氏)

 これまで無線と電源線の家庭内ネットワークは標準化が遅れていた。しかし電源線では業界団体「HomePlug Powerline Alliance」が結成され,無線では家庭内無線ネットワークのHomeRFやIEEE 802.11bが台頭している。

 HomePlug Powerline Allianceは,米Cisco Systemsや米3Com,米Intel,米Compaq Computerなど13社が米国時間4月10日に結成した業界団体。家庭内の既設のコンセントに電源プラグを差し込むだけでLANを構築できる。他の方式と異なり配線の手間が要らない。コストも低く,インストールや接続も容易という利点がある。HomePlug Powerline Allianceには,米Advanced Micro Devices(AMD),米Conexant Systems,米Enikia,米Intellon,米Motorola,Panasonic,米S3傘下のDiamond Multimedia,米Tandy/RadioShack,米Texas Instrumentsが参加する。

 なお電源線を用いた家庭内ネットワークを手掛けるベンダには,米Intellonや米Ambient Technologiesなどがある。前者は「S3が電源線を使った家庭内LAN向けLSIの開発を手掛けるIntellon社に投資」,後者は「既設の電源線を使ったネットワークで25Mbpsのデータ伝送速度を実現」を参照されたい。

 一方HomeRFは,米Microsoft,Intel社,米HP(Hewlett-Packard),米IBM,日本メーカなど40社以上が策定した家庭内無線ネットワークの仕様である。Compaq社Intel社などがHomeRF準拠のアダプタ・カードとPCカードを相次いで発表するなど,このところ盛り上がりをみせている。

 ちなみに家庭内ネットワークに関する市場調査は,過去にもいくつか発表されている。

 たとえば米Yankee Groupの調査によると,米国では2003年までに1000万世帯が家庭内ネットワークを構築して家庭をディジタル化し,ネットワーク・ホームの時代を迎える。また米Cahners In-Stat Groupの調査では,1999年末の米国における2台以上のパソコンを保有する世帯数は2100万だが,これが2003年には3100万世帯にまで達する。Yakee Groupは,2003年までに760万世帯で高速インターネット・アクセスが可能な環境が整うとしている。

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