米Cisco Systemsの事業部門であるLinksysが,IEEE802.11g対応の新しい無線LAN製品系列を米国時間1月4日に発表した。利用可能エリアを広げ通信速度を向上させる「Speed and Range eXpansion(SRX)」技術を採用したルーター「Wireless-G Router with SRX(WRT54GX)」とクライアントPCカード「Wireless-G PC Card with SRX(WPC54GX)」を用意する。

 SRXは,次世代無線LAN標準規格IEEE802.11nの中核にあたる多入力多出力(MIMO)技術をベースとしている。複数の周波数とアンテナを使用することで,利用可能エリアの拡大と通信速度の向上を図る。Linksysは,「SRX対応ルーターとクライアントを使うと,通常のIEEE802.11g対応製品に比べ,エリアが最大3倍に広がり,通信速度が最大8倍に高速化する」としている。

 WRT54GXおよびWPC54GXとも,標準的なIEEE802.11g/b製品と互換性がある。暗号化方式WPAの利用が可能なほか,ステートフル・インスペクション・パケット(SPI)ファイアウオール機能を備え,認証規格IEEE802.1xに対応している。

 両製品とも直ちに利用可能とする。推定小売価格は,WRT54GXが199ドル,WPC54GXが129ドル。

 また米Athena Semiconductorsと韓国Samsung Electronicsは同日,MIMO用トランシーバを3個内蔵する単一IC「TRINI」を共同開発したと発表した。

 両社は「(同等の機能を実現するにあたり)他社製品は複数のICを必要とするため,実装面積がTRINIより大きい」と説明する。「TRINIはコスト,消費電力,組み込みやすさの面でも優れている。さらに,200Mbps以上の通信速度が実現可能」(両社)

 Athena Semiconductors社は,TRINIの一部OEM/ODM向け提供を2005年第1四半期に始める。量産品の一般提供開始は2005年第2四半期の予定。価格は注文個数によって異なる。

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[発表資料(Linksys)]
[発表資料(Athena Semiconductors社,Samsung社)]