米META Groupは,企業の無線LAN利用に関する調査結果を米国時間11月16日に発表した。それによると,今年末までに,企業の30%が無線LANの試用から本格導入に移行するという。2006年までには,50%以上の企業が無線LANを導入する見通しだ。

 META Group社のアナリストは,企業での導入拡大について,無線LANのセキュリティ向上が要因とみる。特に,Wi-Fi Protected Access(WPA)対応製品の登場が大く影響している。META Group社シニア・リサーチ・アナリストのPeter Firstbrook氏は,「WPAは,無線LANの利用に対する批判的意見を見事に鎮めた」と語る。

 ただし同社は,WPAをあくまでWLANセキュリティ・プランの一部と考え,WPAを信頼しすぎないようCIOに忠告している。「WPAで認証や暗号化の問題を改善することはできるが,セキュリティ問題を一気に解決する特効薬ではない」(Firstbrook氏)

 また同社は,無線LANの普及につれて,無線周波数管理の重要性が増すと指摘する。無線周波数管理の主な目的は,従業員が手違いで,あるいはクラッカ(悪意のあるハッカー)が故意に設定したネットワーク・アクセス・ポイントを特定することにある。このような,管理者が把握していないアクセス・ポイントの存在は,社内システムへのバックドアとなるため,企業のセキュリティを脅かす。

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