米Infonetics Researchは米国時間11月1日,北米における無線LANの今後の展望について調査した結果を発表した。それによると,2006年までに,有線ネットワークと無線LANの両方に接続するノート・パソコンの数が急増する見通しだ。同社は,モバイルを受け入れる土壌が急速に整うなかで,無線LANは中核的な役割を果たすとみる。

 調査は,無線LANを導入している小~大規模の企業450社を対象にアンケートを実施したもの。

 調査から,無線LANの導入に関して,企業が最も懸念しているのはセキュリティであることが分かった。一方で,企業はセキュリティの脅威に関して以前より理解を深めており,ベンダーが提供するセキュリティ機能を有効活用するようになっている。

 無線LANスイッチをはじめとする新製品が普及しつつある。ユーザーが無線LANスイッチで最も重要視する機能は,アクセス制御のリアルタイム管理である。オンラインにおけるセキュリティ・ポリシーの作成/適用機能がそれに続く。サブネット間のローミング・サポートを求める声も多かった。

 現在,無線LANの用途として最も人気が高いのは,電子メールとWeb閲覧,次いで無線イントラネットである。Infonetics社は今後,より複雑なアプリケーションで無線LANの利用が進むと予測する。

 例えば,2006年までに無線LANでモバイル・アプリケーションやロケーション・ベースのアプリケーションを導入予定の企業のうち,49%はモバイル環境のサプライ・チェーン管理やERP(基幹業務システム)の実行を計画している。Infonetics社は,「無線LANへの中核業務移行を検討してる企業がいるのは,無線LANに対する信頼が増していることの現れ」と説明する。

 同社はまた,VoIP分野で無線が普及するとみる。現在,無線LANを利用している企業のうち,無線LANによる音声通話が可能なVoWLANを導入している企業は全体の8%である。しかし,2006年にはその割合が27%に拡大する見通しだ。また大企業に限定すれば,2006年までにVoWLANを導入予定の企業は33%にのぼる。

 Infonetics Research社無線LAN担当主任アナリストのRichard Webb氏は「複数のベンダーがWi-Fi対応のVoIPハンドセットを発表しているほか,通話品質に関する標準策定も進んでいる。このような性能向上が,VoWLAN市場の成長をけん引している」と分析する。「無線LANで音声も伝送すると,無線LANへの積極的な投資が可能になるほか,VoIPが果たす役割も増大する。より強力なモバイル音声ソリューションの実現に向けて,両技術の統合が進んでいるのは,自然な流れである」(同氏)

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