米Oracleは米国時間12月7日に,データベースやアプリケーション・サーバーなど主要製品の最新版「10g Release 2」を発表した。大規模グリッド・コンピューティング環境への対応強化を図っている。

 「Oracle Database 10g Release 2」は,クエリーおよびインデックス生成などのあらゆるソート処理を効率化した。クラスタ・システム「Oracle Real Application Clusters」の負荷分散機能を強化し,クラスタ内の稼働パターンの変化により速く対応する。

 また,クラスタ用API「Cluster Ready Services」を備え,アプリケーションの可用性を向上。新たな自動化フェールオーバ機能により,災害後でもすばやいWebサイト復旧を可能にする。

 従来版で提供していたストレージ管理機能「Automatic Storage Management」を強化しており,より多くのストレージ管理作業を自動化し,グリッド環境でのストレージ共有をいっそう簡易化できるとする。

 アプリケーション開発の面では,World Wide Web Consortium(W3C)の定める「XML Query」標準規格をサポートするほか,米Microsoftの「Windows」へのサポートを向上し,「Visual Studio」との統合を強化した。

 「Oracle Application Server 10g Release 2」は,サービス指向アーキテクチャ(SOA)や大規模グリッド・コンピューティング向けの新機能を追加したほか,ビジネス・インテリジェンス,ビジネス・インテグレーション,ID管理といった各種機能を向上した。「アプリケーションとデータをより簡単に統合し,ビジネス・プロセスを合理化して,既存の情報資産を十分に活用することができる」(Oracle社)

 「Oracle Enterprise Manager 10g Release 2」は,新たなグリッド制御機能「Oracle Grid Control」が特徴。大規模グリッド・コンピューティング環境で,アプリケーションとシステムの配備,管理,監視を一元的に行える。

 Oracle Database 10g Release 2とOracle Enterprise Manager 10g Release 2は,2005年半ばに一般向けにリリースする予定。Oracle Application Server 10g Release 2は,間もなく利用可能にする。

 そのほか同社は,Java 2 Platform, Enterprise Editon(J2EE)対応アプリケーション開発ソフトウエア「Oracle JDeveloper 10g Release 2」,グリッド・コンピューティング導入促進サービス「Oracle Information Architecture Services」,包括的ビジネス・インテグレーション・サービス「Oracle Business Integration」などを発表した。

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