米Intelは,「インターネットを,より安全で利便性に優れ,信頼性が高く,誰でも利用できるようにするためには,アーキテクチャの大幅な変更が必要だ」(同社)とし,地球規模の実験ネットワーク「PlanetLab」について明らかにした。同社上級副社長兼CTOのPat Gelsinger氏が米国時間9月9日に,サンフランシスコで開催中の「Intel Developer Forum」でコンソーシアムの立ち上げを発表したもの。

 Gelsinger氏は,「演算リソースとストレージ・リソースから成る計算サービス・ネットワークをインターネットに追加することで,より優れたインテリジェンスをネットワーク・コアにもたらすことができる。このようにしてインターネットは,データ伝送用の‘導管’から,大規模なホスティング・プラットフォームへと変化し,地球上の60億の人々に幅広い多様なサービスを提供できるようになる」と述べた。同氏によれば,これらのサービスは,自身でワームなどの攻撃を検知して警告を発するほか,ネットワークの渋滞を避けて動的にルートを変更する。

 PlanetLabは,計算サービスのオーバレイ・ネットワークで,「新たなインターネット技術を開発するためのオープンかつグローバルなテスト・ベッド」(Intel社)。米AT&Tの研究所,英ケンブリッジ大学,フランスのFrance Telecom,米Hewlett-Packard(HP),NECの研究所,米プリンストン大学,米カリフォルニア大学バークレー校などをはじめ,ブラジル,カナダ,中国の国立研究教育ネットワークや次世代インターネットの研究プロジェクトであるInternet 2がPlanetLabに参加しているという。Intel社はHP社と協力し,すでに18カ月にわたる科学的実験を行った。「実験の成功を受け,自信を持って,地球規模で提供する商用サービスのテストと実装にとりかかる」(HP社執行副社長兼最高戦略および技術責任者のShane Robison氏)

 PlanetLabでは,アプリケーションを細かく分散させ,インターネットを介して世界中の多数のマシンで走らせる。アプリケーション自身がネットワークを構成し,アプリケーション処理をネットワークの端末部分ではなく,内部で行う。

 「計算サービスのオーバレイ・ネットワークは,インターネットの新たな時代を切り開くとともに,他のインターネットの取り組みを補完する。Webサービスを実行するプラットフォームや,グリッド・コンピューティングおよびユーティリティ・ベースのデータ・センターにアクセスする手段などを提供するだろう」(Gelsinger氏)

 PlanetLabのコンソーシアムに関する詳細な情報は,Webサイトで入手できる。

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