米Hewlett-Packard(HP)は,企業向けストレージ・グリッド戦略「HP StorageWorks Grid」の概要とロードマップを米国時間9月14日,明らかにした。この戦略では,企業がどのようにデータを保存するかではなく,データの利用方法が改善されることに注力しているという。

 StorageWorks Gridは,多数の「スマート・セル」を介して情報を格納する。スマート・セルは,企業にリアルタイムで情報を提供するためのモジュラ型のインテリジェントなインフラを構成する。より多くの人がより多くのデータにアクセス可能にすることに注力している。

 HP社は,同ソリューションのロードマップも明らかにした。2005年にファイル・サーバー,アーカイブ,管理機能を統合したStorageWorks Gridベースのソリューション構築を予定する。次の段階として,ストレージ環境において管理機能を共存させるソリューションに注力する。これには,スマート・セルの提供遮断,ダウンロード可能なスマート・セル機能,アレイ・コントローラの統合,グリッドベースの管理などが含まれる。それ以降は,変更可能なスマート・セル機能,シームレスなレポジトリの仮想化,StorageWorks Gridの完全な統一を通じて集中管理機能の提供を計画する。

 StorageWorks Gridアーキテクチャ向けの主なソリューションには,ファイル・サーバー「HP StorageWorks Scalable File Share(HP SFS)」,オール・イン・ワンのストレージ・ソリューション「HP StorageWorks Reference Information Storage System(RISS)」,大規模システム向けディスク・アレイ「HP StorageWorks XP12000」,複数機能プリンタの「Document Capture and Management」などが含まれる。

 また,同日,中小企業とHP社のチャネル・パートナ向けの「Simply StorageWorks」構想も発表した。ネットワーク・ストレージ技術が生産性を高め,コストとリスクを軽減させることを説明するツール,専門家のガイダンスを提供する。同社ストレージ製品のデモを70都市で行なうツアー「Better Together Tour」も実施する。

 HP社の企業向けストレージ/サーバー事業部門は,米国内の受注管理システムの刷新失敗で9200万ドル(約100億円)の営業損失を発表していた。ストレージ販売の不振などと合わせて8月に計2億800万ドルの営業損失を計上している。そのため,同部門の上級副社長3人が更迭されている。

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