米Light Readingの市場調査部門であるHeavy Reading社が,北米におけるVoIP市場の今後の展望について調査した結果を,米国時間9月27日に発表した。同市場では,音声/ビデオ/データの三つのサービスを提供するCATV統括運営会社(MSO)が頭角を現しており,今後地元の電話会社との競争が激化する見通しだという。

 北米の大手MSO(37社),VOIPサービス卸売業者(約12社),VoIP機器ベンダー(33社)を調査し,今後24カ月間におけるMSOの動向を予測分析した。

 2003年における,ケーブル事業者の音声サービス利用者数は約250万人で,2004年末には400万人に達する見通しだ。Heavy Reading社は,「自社ネットワークを有するケーブル事業者は,電気通信会社にとって手強い競争相手になる」と予測する。

 MSOの多くは,すでに何らかの音声サービスを提供しているか,商用電話サービスを今後18カ月間に開始する予定である。2004年9月時点で,「音声サービスを主たるサービスとして提供していく」と回答したMSOは81%に達した。そのうち,すでに何らかの音声サービスを開始しているMSOは73%だった。

 同社によると,ケーブル事業者が回線交換サービスからVoIPへと,サービスの軸足を移しているのは明らかだ。MSO数社が本格的なVoIPサービスを開始しているほか,多数のMSOがVoIP関連機器を購入する予定だという。

 またMSOの多くは,VoIP市場へ速やかに参入するために,電気通信サービス・プロバイダに音声サービスを委託している。MSOと提携関係を結んだ電気通信サービス・プロバイダとしては,米AT&T,米Level 3,米MCI,米Net2Phone,米Sprint,米Vonageなどがあるという。

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