米Yankee Groupは,企業のOS(Linux,UNIX,Windows)利用に関する調査結果を米国時間8月30日に発表した。それによると,UNIXからLinuxへの移行を望んでいる企業は4%,WindowsからLinuxへは約10%と,いずれも少数であることが明らかとなった。

 Yankee Group社は「企業は,技術的メリットやROI(投資回収率)とTCO(総所有コスト)の改善につながることが保証されるまでは,Linuxへの移行を延期すべきだ」と述べている。

 米メディアの報道(CNET News.com)によると,デスクトップ・パソコンの場合,Linuxの移行計画はさらに少なくなる。Linuxへの全面移行を予定している企業は約5%に過ぎず,57%は引き続きWindowsを使用するつもりだという。

 「UNIXとWindowsは成熟したプラットフォームであり,技術的にも発展し続けている。大規模な投資でインフラを構築している大企業にとっては,UNIXやWindowsを捨て去ることは財政的にも考えられず,技術面でのメリットも少ない」(Yankee Group社)。しかしその一方でLinuxは,米IBM,米Hewlett-Packard(HP),米Oracleなどの大手企業や開発者の支持を得て,勢力を強めている。
 
 Yankee Group社シニア・アナリストのLaura DiDio氏は,「エンド・ユーザーの調査結果から,オールマイティなOSというものは存在しないと確信している。企業は,既存のOSインフラが事業のニーズや目標に沿ったものかどうか,現実的に評価する必要がある」と述べた。

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