米連邦通信委員会(FCC)は,携帯電話やポケットベルにユーザーの承諾がない商用電子メール(スパム・メール)の送信を禁じる規制法案を可決したことを,米国時間8月4日に発表した。米国議会は2003年,スパム対策法「Controlling the Assault of Non-Solicited Pornography and Marketing(CAN-SPAM)」を可決した際に,携帯電話に送られるスパム・メールを規制する権限をFCCに与えていた。今回の法規制は,その流れを受けてのもの。

 FCCの法規制によれば,携帯電話ユーザーがあらかじめ承諾しない限り,いかなる無線サービス加入者のアドレスにも商用電子メールを送信してはならない。ユーザーがオプトアウト(受信拒否手続き)するまで送信が認められているコンピュータの電子メール・アドレス宛て商用メールと比べ,より厳しい条件となっている。

 FCCは,商用電子メールの送信者が携帯電話の電子メール・アドレスを(コンピュータの電子メール・アドレスと)識別できるように,商業移動無線サービス・プロバイダのドメイン名リストを公開するという。同リストには個人の電子メール・アドレスは含まれない。

 なお同規制では,ショート・メッセージ・サービス(SMS)などを利用して,ユーザーの電話番号宛に送られるテキスト・メッセージは対象外となっている。

 米メディア(InfoWorld)によると,FCCの法規制に違反したスパム業者はCAN-SPAM法に基づき,最高600万ドルの罰金や,最長1年の禁固刑が課せられる。

 FCC委員のJonathan Adelstein氏は,「携帯電話に送られるスパム・メールは,ユーザーが受信するたびに課金されるので,とりわけ有害だ。スパム・メールがコンピュータの世界に与えている悪影響を,携帯電話の世界で繰り返すわけにはいかない」と説明した。

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