英Clearswiftは米国時間7月14日,スパム・メールに関する調査結果を発表した。それによると,現在はスパム・メールの約7割を金融および製薬関連が占めており,ポルノ関連のスパム・メールは減少していることが明らかとなった。

 調査は,Clearswift社が調査のために設定したアカウントや,2000万人のユーザーからClearswift社に転送されてきた不要な電子メール数百万通をもとに,スパム・メールの内容を分析したもの。

 かつての調査では,ポルノ,金融,ヘルスケア,直販などのスパム・メールが大半を占めており,その割合は同じくらいだった。また,ギャンブルや詐欺まがいのスパム・メールも多かった。今回の調査では,金融および製薬関連が全体の69.6%で,前年の39.2%と比べて大幅に増えた。一方,ポルノ関連のスパムが占める割合は4.8%で,前年の21.8%から大幅に減少している。「今や,ポルノ・サイトや婚約指輪に関するスパム・メールよりも,バイアグラや低金利ローンのスパム・メールを受け取ることがはるかに多くなっている」(同社)

 この傾向は,オンラインでの犯罪行為が増えていることを示しているという。かつてスパム・メールは,低コストで規制のないマーケティング媒体として,ポルノ産業や製薬会社のセールスマンが多く用いていた。しかし,現在は組織的な犯罪集団がオンラインに活動の場を移しており,スパム・メールを犯罪活動に利用している。犯罪集団は,主にブロードバンド接続の家庭用パソコンで構成されたネットワークに侵入し,膨大な量のスパム・メールを生成する。このようなネットワークは,サービス拒否攻撃を利用した恐喝や,フィッシングなどによる個人情報盗難といった犯罪に利用されているという。

 「スパム・メールは,単にネットワークの渋滞や生産性の低下をもたらすだけでなく,犯罪行為の手段として使われている」(Clearswift社リサーチ部門ディレクタのAlyn Hockey氏)

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