スパム防止技術を手掛けるイスラエルのCommtouchは,2004年前半におけるスパム・メール状況について調査した結果を,米国時間6月30日に発表した。それによると,医薬品に関するスパム・メールが最も多く,全体の29.5%を占めた。また全世界で1日当たりに送信されたスパム・メールの種類は,2004年1月の約35万種から2004年6月には50万種以上へと大幅に増加した。

 2004年前半のスパム・メールで最も多かった広告内容は以下の通り。


■2004年前半におけるスパム・メールの広告内容ワースト10

1. 医薬品 (29.5%)
2. ローン,ローン借り換え(9.7%)
3. 肉体増強(7.0%)
4. ショッピング (6.9%)
5. ソフトウエア (6.1%)
6. 財テク (5.9%)
7. 仕事の斡旋(4.1%)
8. 出会い系 (3.2%)
9. ポルノ (3.1%)
10. 減量 (2.6%)

出典:Commtouch社

 スパム・メールの多くにはURLが1件以上含まれているが,2004年6月に世界中で送信されたスパム・メールを分析した結果,その99.7%が中国を始めとする5カ国のホスティングを利用したスパム業者のWebサイトだった。なお,中国だけで全体の73.6%を占めた。


■2004年6月におけるスパム・メール内のURLのホスティング元

1. 中国(73.6%)
2. 韓国(10.9%)
3. 米国(9.5%)
4. ロシア連邦(3.5%)
5. ブラジル(2.2%)

出典:Commtouch社

 また米国から送信されるスパム・メールが最も多く,アジア諸国がそれに続いた。ちなみに,2004年上半期に世界中で送信されたスパム・メールは,その大半が英語だった。他の言語で書かれたものはわずか5.8%だった。


■2004年6月におけるスパム・メールの送信元

1. 米国(55.7%)
2. 韓国(10.2%)
3. 中国(6.6%)
4. ブラジル(3.4%)
5. カナダ(3.1%)

出典:Commtouch社

 2004年6月に送信されたスパム・メールの9.8%は,スパム対策法「Controlling the Assault of Non-Solicited Pornography and Marketing(CAN-SPAM)」に準拠していた。つまりメール本文に,返信可能なメール・アドレス,住所,受信拒否を電子的に行う手段が含まれているほか,件名に偽りがなく,広告メールであることを明示していたという。

 また,2004年前半に送信されたスパム・メールの21.6%は,件名やメール本文に意味のないアルファベットを加えたり,単語の綴りに手を加えるなど,フィルタを欺くためのトリックが仕掛けられていた。

 Commtouch社執行副社長のAvner Amram氏は,「2004年前半は,CAN-SPAM法案に準拠したスパム・メールが増加した。ただし,コンテンツ・フィルタを通り抜けるために,スパム・メールを送信する手口もますます巧妙になっている」と指摘した。

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