調査会社の英Canalysは,2004年第2四半期におけるEMEA(欧州,中東,アフリカ)地域のモバイル機器市場について調査した結果を,英国時間7月20日に発表した。それによると,2004年第2四半期のモバイル出荷台数は257万9460台で,前年同期比52%増となった。「音声通信向けデバイス分野はやや減速したが,データ通信向けデバイスが急伸した」(同社)
Canalys社は,「データ通信向けデバイス」をハンドヘルド機(無線対応を含む),「音声通信向けデバイス」を多機能携帯電話およびスマートフォンと定義している。
データ通信向けデバイスの出荷台数は,前年同期比43%増の89万8250台。とりわけ,無線対応ハンドヘルド機の伸びが目覚ましく,前年同期と比べ200%成長した。無線対応ハンドヘルド機をメーカー別でみた場合,出荷台数が大幅に伸びたのは,カナダのResearch In Motion(前年同期比230%増)と米T-Mobile(同154%増)。英O2(同79%増)も健闘した。
データ通信向けデバイス市場をリードしたのは市場シェア28.3%の米Hewlett-Packard(HP)である。それに米PalmOne(19.8%)とドイツのMedion(10.7%)が続く。
Canalys社ディレクタ兼上級アナリストのChris Jones氏は,「世界の他の地域のハンドヘルド機市場は芳しくないが,EMEAは大きな可能性を秘めていることが分かった」と述べた。「しかし,すべてのメーカーが市場の波に乗っているわけではない。小規模メーカーはナビゲーション・システムをバンドルするなどしてシェアを伸ばしているが,東芝や米Dellといった大手は変わりばえがしない」(同氏)
音声通信向けデバイスの出荷台数は,前年同期比57%増の168万1210台。フィンランドのNokiaが市場シェア80.4%で首位に立った。ソニーとスウェーデンEricssonの合弁企業Sony Ericssonがシェア8.9%,ドイツのSiemensがシェア3.7%で続いた。
OS別にみると,英Symbianが市場シェア94%で圧倒的なリードを維持した。米Microsoftは第1四半期からシェアを落とし4%。一方,米PalmSourceは「Treo 600」が追い風となり,シェアを2%弱まで伸ばした。
Symbian OS搭載デバイスのうち85%をNokia社が占めている。「現時点で,Symbian OS搭載デバイスを各種取りそろえているのはNokia社だけである。他のメーカーが市場で確固とした足場を築くには,製品ラインの拡充が先決だ」(Canalys社アナリストのRachel Lashford氏)
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