「携帯電話向けアプリケーション(ゲーム,着信音,映像,音楽)が,データ・トラフィックの増大を招き,モバイル事業者に利益をもたらす」。米IDCは,西欧のモバイル機器向けアプリケーション市場に関する調査結果を英国時間5月21日に発表した。それによると,同市場は2008年に約80億ドルに成長するという。

 欧州では,英Vodafoneが「LIVE」サービスでコンテンツの充実を図っているほか,英O2が映像および音楽サービスを開始し,ドコモが「i-mode」サービスを展開している。

 「携帯電話向けアプリケーション市場では,1つのキラー・アプリが登場することにはならないだろう。さまざまなアプリケーションが混在し,GPRS,EDGE,UMTS,HSDPAを介したデータ利用を促進する。着信音,ゲーム,映像,音楽などすべてのアプリケーションが,1台の携帯電話で利用できるようになる。ただし,着信音とゲームはすでに市場を確立しているが,映像と音楽はしばらく時間がかかる」(IDC European Wireless and Mobile Communications Service部門シニア・アナリストのPaolo Pescatore氏)

 IDCが予測する各分野の主な動向は以下のとおり。

■ゲーム
 ほとんどの通信業者が,GPRS対応のカラー携帯電話で利用可能なJavaベースのゲーム・サービスを展開している。将来は,リアルタイムのマルチプレイ・ゲームに重点が置かれるようになる。しかし短期的には,通信業者は,ユーザーがゲームを継続的にダウンロードするような仕組みを考える必要がある。

■着信音
 これまではSMS経由の配信および課金が主流だったが,通信業者のWAPサービス導入により,選択肢が大きく広がっている。気分や好みに合わせて携帯電話をカスタマイズするアプリケーションとして,今後も人気が続く。

■映像
 現時点では,着信音やゲームほどの需要はない。映像の受信および視聴は負荷が高くなるため,期待したほどの使い勝手を達成できていない。しかしUMTSやHSDPAネットワークでビデオ伝送の大幅な改善が見込まれる。

■音楽
 着信音サービスが成功を収めているにもかかわらず,モバイル音楽配信サービスは立ち上がりが遅れている。消費者はCDやMiniディスク,MP3プレーヤを利用して音楽を常に聴いており,携帯電話向け音楽サービスを提供する十分な動機は揃っている。通信業者は,年内に携帯電話向け音楽サービスを開始する計画を検討している。

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