米EDSの子会社であるA.T. Kearney社は,無線データ・サービスの利用状況について調査した結果を,米国時間7月19日に発表した。2005年には,携帯電話ユーザーの41%が,電子メール,写真付き電子メール,ゲーム,音楽のダウンロード,ニュースといった無線データ・サービスを,定期的あるいは頻繁に利用する見通しだ。

 調査は,A.T. Kearney社が英ケンブリッジ大学のJudge Instituteと共同で実施したもの。欧州,北米,アジア,オーストラリアの13カ国における携帯電話ユーザー約4500人を対象にインタビューを行った。

 A.T. Kearney社は,無線データ・サービスの需要急伸について,「マルチメディア対応携帯電話を所有する無線データ・ユーザーが49%に達し,主要データ・サービスの普及率が対象市場において25%を超えたため」と分析する。

 同社副社長のMark Page氏は,「とりわけ,アジア諸国の24歳以下のユーザー層において,無線データ・サービスが急速に普及している。サービスを試しに使ってみて気に入ったユーザーは,将来,より頻繁に利用したいと考えているようだ」と説明する。しかし,「サービス料金などの課題がいくつかある」(同氏)と指摘している。

 現在,無線データ・サービスの利用を控えているユーザーに理由を尋ねたところ,35%が「コストの高さ」を,18%が「接続スピードの遅さ」を挙げた。これらの数値は,昨年行った同様の調査とほぼ同じだ。しかし,「セキュリティやプライバシに関する不安」を挙げた回答者は22%で,昨年の10%から増加した。

 携帯電話で小口支払いを行う“mキャッシュ”を利用するユーザーが,昨年の3%から10%へと伸びている。A.T. Kearney社は,mキャッシュに対する関心が高まっている時期だけに,セキュリティに対する不安がmキャッシュの普及を阻む可能性がある,と指摘する。

 現在,急成長を遂げている主な無線データ・サービスは以下の通り。

・写真付き電子メール:携帯電話ユーザーの20%以上がカメラ付き携帯電話を使用している。そのうち,1カ月に1回以上写真つき電子メールを送受信しているユーザーは53%だった

・エンターテインメント:マルチメディア対応携帯電話を使って,音楽のダウンロードや再生をするユーザーは21%に達した。また,24歳以下のユーザーの3分の1が,ゲームや音楽のダウンロードといったエンターテインメント・サービスを利用している

・情報サービス:携帯電話を使って,ニュース,天気予報,スポーツ,株価などの情報を入手しているユーザーは25%に達し,2003年の6%から大幅に増えた

 また調査から,無線データ・サービスの利用が,当初の普及層であるティーンズや若者以外にも広まっていることが分かった。可処分所得をより多く持つ35~44歳の年齢層のうち,写真付き電子メールを利用しているユーザーは48%,電子メールを利用しているユーザーは66%だった。

 国別にみると,無線データ・サービスが最も普及しているのは日本で,韓国,オーストラリア,ドイツがそれに続く。

 「モバイル事業者が,急増する需要の波に乗って,まとまった収益を得るには,安全なテクノロジを提供し,戦略的な価格設定とビジネス・モデルを採用する必要がある。タイミングを逃すと,欧州で着信メロディのビジネス・チャンスをサードパーティに奪われた時と同じ失敗を繰り返すことになるだろう」(Page氏)

◎関連記事
「西欧の無線市場の成長は無線データ・サービスがけん引」,米Yankee Group
「モバイル・ゲーム市場,2008年は97億ドル超に」--英調査
「米国における無線データ市場,今後5年間で約4倍の160億ドル規模へ」,と米調査
2007年に米国人の約60%がモバイル・データを利用へ
世界の携帯電話ユーザーの44%がmキャッシュに興味を示す---米調査会社
「米国における無線データ市場,今後5年間で約4倍の160億ドル規模へ」,と米調査
「無線802.20規格がモバイル・インターネットの価格とパフォーマンスが大きく改善」,米調査
「米国の着メロ市場は2007年に10億ドル規模」,米IDCの調査 

[発表資料へ]