米American Management Association(AMA)は,企業による電子メールとインスタント・メッセージ(IM)の管理状況について調査した結果を,米国時間7月13日に発表した。それによると,訴訟や法規制に基づく調査の一環として,従業員の電子メール提出を求められた経験がある企業は20%に達し,2003年の14%から増加した。また,従業員の電子メールが原因で訴訟に巻き込まれたことがある企業は13%だった。

 調査はAMAが,米ePolicy Instituteと共同で,米国企業840社を対象に実施したもの。電子メールやIMが,訴訟における重要な証拠として採用されているにも関わらず,電子メールやIMを適切に管理している企業は少ない。業務に関連したIMを保存/管理している企業はわずか6%。また,電子メールの保存と削除に関するポリシーを設けている企業は35%で,2003年の34%から1ポイントしか増加していない。

 ePolicy Institute社執行ディレクタのNancy Flynn氏は,「『どのようなメールやIMを保存すればよいのかよく分からない』という回答者が37%にのぼった。これは,電子メールとIMのリスクや社内規定について,従業員の教育が不十分であることを示している」と指摘する。

 ちなみに,2004年に電子メールの社内方針について研修を実施した企業は54%で,前年の48%からやや増加した。

 電子メールとIMの管理状況を比べた場合,電子メールの保存と削除に関する社内規定を文書化している企業が79%だったのに対して,IMの場合はわずか20%だった。またソフトウエアを使って,従業員が社外とやりとりする電子メールを監視している企業は60%だったが,社内における送受信を監視している企業は27%に留まった。

 Flynn氏によると,「社内における電子メール通信の監視を怠ると,結果的にコストが高くつく可能性がある」という。「訴訟の引き金となったり,原告側に有利な証拠として使われるのは,普段何気なく交わされる電子メールだからだ」(同氏)

 また,IM向けにゲートウエイや管理ソフトウエアを導入している企業は11%だった。社内でIMを利用する従業員が31%に達し,その78%が無料のIMソフトウエアをインターネットからダウンロードしていることを考えると,訴訟や法規制準拠のほか,生産性やセキュリティの問題など,企業がIM関連の問題に遭遇するリスクは増加傾向にある。

 職場で電子メールやIMを利用して,個人的な内容のメッセージをやり取りしたことがあるという回答者は86%に達した。

 企業は,電子メールに関する社内規定の準拠に関して,より厳しい姿勢を取るようになっている。25%の企業が,社内規定違反で従業員を解雇したことがあり,2003年の22%,2001年の17%より着実に増加している。

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