米American Management Association(AMA)が,社内における電子メールの利用状況と,企業の電子メール管理に関する調査結果を,米国時間6月23日に発表した。それによると,従業員は就労時間の約25%を電子メールに費やしており,22%の企業が電子メールに関する社内規定違反で従業員を解雇したことがあるという。

 調査はAMAが,米Clearswiftおよび米ePolicy Instituteと共同で,米国企業1100社以上を対象に実施したもの。2001年に引き続き,2回目の調査となる。

 平均的な従業員は,1日のうち107分(就労時間の約25%に相当)を電子メールに費やしている。「1時間未満」という従業員は24%,「2時間以上」の従業員は31%だった。「4時間以上」とする従業員も全体の8%を占めた。

 また過去1年間に,電子メール・システムの障害が原因で時間を無駄にしたことがある回答者は76%にのぼった。無駄にした時間は「約半日」が35%,「2日以上」とする回答者は24%だった。

 Clearswift社副社長のIvan O'Sullivan氏は,「電子メールは素晴らしいコミュニケーション・ツールだが,欠点があることを忘れてはならない。企業は,情報資産を保護するための対策を積極的に講じ,従業員が電子メールによって生産性を向上できるように教育する必要がある」と指摘した。

 また,ePolicy Institute常任理事のNancy Flynn氏によると,文書化した電子メール規定がある企業は75%に達するものの,電子メール規定に関する研修を実施している企業は48%,電子メールの保持と削除に関する研修を実施している企業は27%だという。しかし2001年には,電子メールの規定に関する研修を行っている企業がわずか24%だったことから,企業がその重要性を認識し始めていることが分かる。

 その他の主な調査結果は次の通り。

・回答者の92%が職場でスパム・メールを受信している。スパムが受信メールの「10%以上を占める」という回答者は47%,「50%以上を占める」という回答者は7%だった。それにも関わらず,「電子メールによって生産性が向上したと」する回答者は86%だった

・電子メールに関する社内規定の遵守を義務づけ,従業員の電子メールを何らかの方法で監視している企業は52%

・電子メール・コンテンツの監視と管理を行う企業が増えている。2001年にソフトウエアを用いて電子メール・コンテンツを監視している企業は24%だった。2003年には40%以上へと増加し,そのうち電子メール・コンテンツの監視と社内研修を組み合わせる企業は88%に達した

・社内/社外向け電子メールを監視するソフトを実装している企業は90%。一方,従業員どうしがやり取りする社内の電子メールを監視する技術を導入している企業はわずか19%

・裁判所や取締機関から,従業員の電子メールの提出を求められたことがある企業は14%。2001年は5%だった

 「企業が,社内でやりとりされる電子メールの監視を怠っているのは,大きな誤ちだ。訴訟を引き起こす原因となったり,メディアに取りざたされる動かぬ証拠となるのは,従業員どうしのとりとめのない電子メールに他ならない。電子メールを私的利用する回答者が90%以上にのぼり,不要な電子メールを削除していない企業は66%に達することが問題を深刻化している」(O'Sullivan氏)

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