「企業で働く従業員による私用の電子メールが“動かぬ証拠”となって,裁判沙汰に至るケースが増えている。従業員の電子メールやインターネットの利用が原因でセクシャル・ハラスメントや差別などの訴訟問題に発展したケースを持つ企業は全体の8%となった」。米ePolicies Instituteが米国時間9月25日に調査結果を発表した。

 調査は,ePolicies社が米American Mangement Association,新聞社の米US News & World Reportと共同で実施したもの。企業の雇用主435人を対象に質問を行い,回答を得た。

 ePolicies社によれば,従業員による職場でのコンピュータの利用に関する問題点などについて注意する企業の雇用主が増えており,様々な手段を講じるようになっている。従業員のインターネットの利用状況を監視する理由として,最も多かったのが「違法行為の発見」で,雇用主の68%強にのぼった。

 「企業は,従業員のオンライン利用状況を管理することで,トラブルを防止,経営資産を守り,思わぬ訴訟などに至るのを防ぐことができる。企業はコンピュータやインターネットの利用に関する規定をきちんと定め,ソフトウエアを監視すること」(ePolicy社Executive DirectorのNancy Flynn氏)。

 雇用者が採っている具体策は以下の通り。

・インターネットの私用での利用を制限している:85%
・電子メールの利用規定を設けた:81%
・インターネットの利用規定を設けた:77%
・電子メールやインターネットの利用状況を監視している:62%
・電子メールの使用を制限している:56%
・規定遵守を促す,守られない場合には解雇する:51%
・ポルノ・サイトの視聴を行わぬよう,規定遵守を促している:36%
・電子メールの削除規定を設置した:24%

 なお,連邦政府が規定したElectronic Communication Privacy Act(ECPA)により,企業の雇用主には社内の電子メールのトラフィックやインターネットの利用状況を監視する権利が与えられている。

 Flynn氏は,「(1)従業員は社内におけるインターネットの利用に関し,プライバシの保護を期待するべきでない,(2)企業はコンピュータのシステムで送受信/保存される全てのデータやファイルに関し,これを監視する権利を持ち,(3)かつ,これを行使する用意がある。この3点を社内で徹底するべきだ」と話す。

 またハラスメントや威嚇,恐喝,猥褻,差別,侮辱的な言葉などに関するコンテンツの表示を制御することも非常に重要であると指摘している。

 ePolicy社は,WWWサイトで実際に訴訟に至ったケースや従業員を大量解雇したケースなどに関し,社名入りで紹介している。

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