米Symbol Technologiesは,無線インフラやモバイル機器の導入および管理を行うための企業向けモバイル・サービス・プラットフォーム「Symbol Mobility Services Suite(MSS)」を米国時間5月12日,発表した。「当社は同プラットフォームにより,包括的なエンド・ツー・エンドの企業向けモバイル・ソリューションで必要とされる全コンポーネントを提供できる体制を整えた」(Symbol社)という。

 同社は,「Symbol MSSを利用すると,複雑なモバイル・インフラの導入にかかる期間を大幅に短縮できる」としている。「モバイル機器と無線ネットワークの動作状況が把握しやすくなるので,IT管理者は障害が起こる前に問題を特定して解決できる」(同社)

 同プラットフォームは,「Mobility Services Platform(MSP)」「Mobility Services Agent(MSA)」「MSS Studio」という3つのコンポーネントで構成する。MSPはラックマウント型装置で,Symbol社製モバイル機器やシステム上に存在するMSAと通信し,サーバー・サイドの制御を担当する。

 MSS Studioは,無線LANやGPRSなどのネットワークを介して,モバイル機器上のバック・エンド・アプリケーションの作成や拡張を行うためのツール。J2EEやWebサービスに対応したプログラミング環境も備える。将来版では,Microsoft Visual Studio .NET,.NET Compact Framework,Eclipse,その他のJava用統合開発環境(IDE)に対応したSDKを同梱する予定。

 なおSymbol MSSは,米IBMのTivoli,米Hewlett-PackardのOpenView,米Computer Associates InternationalのUnicenterなどの企業向けネットワーク管理ソリューションと統合可能なほか,標準的なネットワーク・プロトコルに対応している。

 また同社は,無線LANスイッチ「WS 5000 Wireless Switch」用のアップグレード・ソフトウエアの無償提供について,同日明らかにした。同ソフトウエアでWS 5000をアップグレードすると,同社製アクセス・ポイント「AP 3021」「AP 4121」などの集中管理が行えるようになる。アップグレード・ソフトウエアはSymbol社のWebサイトで顧客向けに配布している。

 さらに,IEEE801.11a/b/gの3規格に対応した無線LANクライアント・アダプタ「Wireless Networker Card Bus(LA-5030)」(159ドル)と「Wireless Networker PCI Adapter(LA 5033)」(229ドル)も発表した。既に注文を受け付けており,量産出荷を2004年6月に開始する予定。

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[発表資料(Symbol MSS)]
[発表資料(アップグレード・ソフトウエアと無線LANクライアント・アダプタ)]