米Allied Business Intelligence(ABI)は,無線LANと第3世代(3G)ネットワークの今後の展望に関する調査結果を米国時間6月10日,発表した。それによると,無線LAN対応ノート・パソコンのユーザー数は年平均79%で増加し,2008年までに5800万人を超える見通しだ。

 一方,携帯電話向けインフラ事業者は,市場の縮小に悩まされている。ネットワーク構築費の低価格化が進んでいることから,インフラ事業者は以前より低いASP(平均販売価格)と収益機会に甘んじている。2003年のインフラ市場は,ピーク時の200億ドル規模を大幅に下回る,160億ドル規模になる見込みである。

 インフラ事業者は,3Gネットワークの拡大に活路を見出そうとしているが,無線LANと同じ顧客層をターゲットにするため,ROI(投資回収率)を見込めるか疑問だ。

 ABI社によると,無線LANユーザーの増加により,3Gネットワークのデータ・トラフィックが一時的にホットスポットに奪われる可能性があるという。しかし長期的には,複数の無線サービスが共存するのに十分な数の無線ユーザーが生まれるとみている。

 「ノート・パソコンを使って無線LANにアクセスするユーザーが増えると,より多くの無線データ・サービスが提供されるようになる。その結果,ホットスポット事業者はもちろん,ネットワーク・プロバイダや機器ベンダーにも長期的な恩恵をもたらすだろう」(ABI社上級アナリストのTim Shelton氏)

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