「かつて『キラー・アプリ』と称された位置情報サービス(LBS:Location Based Service)が,再び脚光を浴びつつある」。米ABI Researchは米国時間4月27日,LBSに関する調査結果を発表した。緊急連絡にそなえて携帯電話に位置識別機能を搭載するよう義務づける法律「E112」(欧州)や「E911」(北米)が制定されたことや,アジアでの商用サービスの成功が追い風となっている。
LBSの導入がこれまで行き詰まっていたのは,技術的な問題にあるという。携帯電話ユーザーの位置を識別する方法は数多く存在するが,「いずれも完全なものではない」(ABI Research社)。通常は,携帯電話のインフラと全地球測位システム(GPS)などを併用するが,GPSは信号が屋内に届かないという制約がある。また,無線ネットワークを利用して信号を三角法で測定するのはコストが高くなる。
ABI Research社のEdward Rerisi氏は「LBSにより,通信業者は付加価値の高い位置サービスを提供することができ,ユーザー1人あたりの売上げ(ARPU)が高まる。高額なデータ・サービスの需要も生まれるため,うまくいけば,大幅な収益増が期待できる」と説明した。
同社は2010年までに,LBSの売上高が36億ドルに達すると予測している。最も成長が見込まれる分野は,社外の従業員や資産を追跡する企業向けサービス。道路案内や気象情報,友達/子供の位置確認といった消費者向けLBSも普及する可能性がある。
また,車/トラック/トレーラと携帯電話ネットワークが連携したテレマティックス・サービスの売上高は,2009年に50億ドルを突破するとみる。
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