英ARC Groupは英国時間8月19日,位置情報サービス市場に関する調査結果を発表した。それによると,2007年には位置情報サービスはモバイル・データ・サービスの売上高のうち40%以上を占めるようになる。2002年における位置情報サービス市場はわずか10億ドル強の規模だが,今後5年間で移動体通信事業者の売り上げ成長をけん引するようになる。

 消費者向け位置情報サービスで成長が期待されるのは,現在でも人気が高い消費者向けの「インフォテイメント(娯楽情報)」サービスである。これは,ニュースや天気,交通情報などの情報提供に加え,「近隣情報」や「友達探し」サービスなどを含んでいる。次に人気があるのは,ナビゲーション,追跡,エンタテインメント。物流管理などの企業向け位置情報サービスが2007年には全世界で150億ドル規模となるが,消費者向け市場は企業向け市場よりはるかに売上高が増加する見込みだ。

 しかし通信事業者は不況のために,位置情報サービスの導入に慎重になっている。またARC Group社のKaren Walsh氏は,「ユーザー・プライバシや互換性,ローミング・サービス,mコマース・セキュリティを取り巻く状況が不確定なことも,業者が慎重な姿勢を取っている原因だ」としている。米国では連邦通信委員会(FCC)が緊急電話番号サービスの提供を求めたため,通信事業者らは商用の位置情報サービスよりも高精度の位置情報技術に焦点を当てるようになった。

 Walsh氏は,「位置情報サービスは導入コストがかなり高いため,事業者は市場を把握してから広範囲なサービスを開始したいと思っている。この傾向は特に欧州やアジアにおいて顕著で,事業者は精度の高い位置情報技術を待つよりも,事業上のメリットとしてサービスを開始している」と説明する。事業者は現世代の携帯電話機を利用している既存顧客をターゲットにして,マーケティング戦略や分類モデルをテストしている。

 一方,KDDIやNTTドコモ,独E-Plusなど,位置情報サービスを事業戦略の中核に据えている一部の事業者は,競合他社と差異化を図るために高精度の位置情報技術およびサービスの導入に注力している。

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