米In-Stat/MDRは,商業住宅(MTU:マルチテナント・ユニット)向け広帯域接続サービスについて調査した結果を,米国時間4月21日に発表した。それによると,全世界におけるMTU向け広帯域接続サービスの売上高は,2003年の3億6480万ドルから2008年には37億ドルに成長する見通しだという。

 In-Stat/MDR社上級アナリストのAmy Cravens氏は,「MTU内のユーザーに向けた広帯域接続サービスは,これまで市場として見過ごされてきた。しかし,MTUにある中小企業や支社は,以前より高度な通信機能を求めるようになっている。これら企業の電気通信コストは,今後数年間にわたって着実に伸びることが予想されており,市場として大きな潜在性を持っている」と説明した。

 In-Stat/MDR社は,とりわけ人口密度の高い韓国のソウル,中国の香港,そしてニューヨークなどのMTUが大きな市場機会を持つとみる。

 MTU市場のサービス・プロバイダの傾向は,地域によって異なっている。米国では,CLEC(競争的地域通信事業者), RBOC(ベル系地域通信事業者),ケーブル事業者がサービスを提供しているほか,自治体に向けたサービスではニッチ・プロバイダが活躍している。また,米国のMTU向け広帯域接続サービスは,その大半がCO(中央オフィス)ベースのものだという。

 一方,アジア太平洋地域では,その国の大手サービス・プロバイダが,MTU市場向けに広帯域接続サービスを提供している。またプロバイダによっては,MTUのビル内に共有基地局を設置してサービスを提供しており,今後その数はさらに増える見通しだ。

 その他の主な調査結果は次の通り。

・MTU市場として最も強い伸びをみせているのはアジア太平洋地域。

・欧州でも,MTUビル内に基地局を設置した接続サービスが増える見通しだ。PTT(電気通信省庁)関連のプロバイダと競争を試みる事業者が,積極的に導入を試みるため。

・MTU環境では,ビル所有者とプロバイダとの間に何らかの関係が発生する。単に,ビルのアクセス許可をもらう場合から,共同でマーケティングを展開したり,ネットワーク所有する場合など,その関係はさまざまである。

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