米国の通信業界団体である米CompTel/ASCENTと,CLEC(競争的地域通信事業者)の業界団体である米PACE Coalitionは,米国の家庭ユーザーが市内/長距離通話に支払う料金について調査した結果を,米国時間3月15日に発表した。それによると,2003年における家庭ユーザーの電話料金は,通信事業者間の競争が本格化した1999年以前と比べて約23%減少し,合計110億ドルの電話料金の節約につながったという。

 家庭ユーザーが市内/長距離通話に支払う年間通話料金は,1回線当たり平均131.88ドル減少した。これは消費者が,UNE-P規制を足がかりに新規参入した事業者のサービスを利用するようになったためである。UNE-P規制は,市内通話ネットワークのレンタルに関する規則。地域の通信事業者がネットワークや市内交換機能などを,新規参入事業者に安い料金で貸し出すことを義務づけている。

 CompTel/ASCENTでCEOを務めるH. Russell Frisby Jr.氏は,「UNE-P規制によって市内通話サービスの競争が激化し,さまざまな通話サービス・パッケージが提供されるようになった。消費者の選択肢が多いほど価格が低下することが,通信分野でも実証された」と述べた。

 消費者が利用する通話機能の数も以前より増えている。消費者が,2003年末時点で利用している機能の数は,1999年半ばと比べ16%も増えたことが分かった。

 また,通信事業者の競合により,2003年に小規模企業が支払う電話料金も44億ドル減少した。

■家庭ユーザーの電話料金の推移

                      回線数        1999年3Q   2003年4Q 1回線当たりの  年間節約額
                    (百万本)      電話料金   電話料金  年間節約額    合計(億ドル)

BellSouth               15.5         52.40ドル  39.24ドル  $157.92       $2.45
Qwest                   10.8         43.15ドル  29.64ドル     $162       $1.75
SBC                     30.3         46.68ドル  34.28ドル  $148.80       $4.51
Verizon                 26.7         45.17ドル  38.04ドル   $85.56       $2.29
(GTE除く)
全ベル系地域電話会社    83.4         46.80ドル  35.81ドル  $131.88         $11
(GTE除く)

出典:CompTel/ASCENTおよびPACE Coalition

◎関連記事
米SBCがカリフォルニア州で定額制の通話料金プランを提供,米Cingularもニューヨークなどで同様のサービスを 
米Sprint,ローカル通話を含む通話サービスのバンドル製品を提供開始
「新時代の遠距離通信業界でリーダーシップを拡張」,米AT&Tの会長が株主総会にて戦略の概略を明らかに
米長距離電話サービスの顧客満足度,米Verizonと米Cincinnati Bellが首位
「電話料金はあくまで全国均一」。接続料問題で国会がNTTの主張通りの決議
電話接続料の大幅値上げ回避へ。「通話量の予測は困難」と総務省
2003年度から電話料は一斉値上げ? NTT接続料に事後精算案が浮上 
「値上げは1年凍結し,議論を尽くせ」。電話接続料を巡り,総務省案の反対派が集会 

[発表資料へ]