「NTT電話の接続料は今後も東西同一料金」,「(電話料金を引き下げてきたが)長期増分費用(LRIC)方式は早期に廃止」--。NTT東西地域会社が提供する加入電話の接続料金を巡って,ほぼNTTグループの主張通りの決議が,現在開催中の臨時国会で採決された。28日に衆議院,参議院がそれぞれ開いた総務委員会で決議されたもの。法的拘束力はないが,総務省は何らかの対応を迫られそうだ。

 NTT電話の接続料は,「最も効率的な電話設備のコスト」を用いるLRIC方式を2000年度から採用し,3年間で22.5%下がった経緯がある。2003年度は,算定に用いる設備モデルや料金水準を改定する年にあたる。総務省の情報通信審議会(情通審)は2002年9月にまとめた報告書で,「2003~2004年の接続料算定もLRIC方式を継続採用」,「コスト構造の異なる東西NTTの接続料は個別に算定するべき」とし,具体的なLRICの改定モデルを発表。これに対して,NTTグループは東西別接続料に反対し,LRICも早期廃止を求めていた。

 今回,衆参両院の総務委員会で決議された事項は,(1)電話のユーザー料金に地域格差が生じないよう(情通審が求めた)東西別の接続料はやめるべき,(2)通信事業者(NTT)の設備投資意欲を考慮して,LRICは早期に廃止し,別の算定方式を検討すること,(3)2003~2004年の接続料は,基本料金が値上げにならないモデルを採用すること,(4)通話トラフィックが減少している事態を踏まえ,算定に用いるトラフィック量は適切に算定すること--の4点。このうち(1)~(3)はNTTグループの主張を受け入れた形で,NTTは経営を苦しめてきたLRICの廃止に向けて立法府を味方に付けた格好だ。

 最終的な接続料の水準は2003年2月にも総務省が決める予定。

(玄 忠雄=日経コミュニケーション)