米AT&T社の会長兼CEOのDavid Dorman氏は米国時間6月11日,第118回株主総会にて同社の経営戦略の概要を明らかにした。同社は,消費者向けローカル・サービスを拡張するとともに,企業顧客向けにもサービス改善のための投資を実施するという。

 Dorman氏は,株主総会を通じて同社の財政の安定性を強調しており,2003年第1四半期に120億ドルだった純負債が,同年終盤までに100億ドル未満に軽減される,とする予測を明らかにした。

 「経営的視点からみると,昨年の業界不振によりAT&Tは企業として成長した。事業に焦点を絞り,より効率的になった。そのため,プロセスが改善できるとともに将来に向けて簡略で的を絞ったビジョンの設定ができた。AT&Tは,引き続き事業に投資していく。その額は,大手の競争企業2社の投資額の合計の4倍に該当する」(同氏)

 同社は,IPネットワーク構築を含め,事業サービス強化に向けて5億ドルの投資を計画している。グローバルIPネットワークの実装により,顧客に提供するサービスの運用環境の簡略化,企業が事業プロセスの変更に必要なツールの提供を狙う。

 また,顧客向けには,ローカルと長距離サービスのバンドル製品の拡張を狙う。同社は,現在全米11市場でサービスを提供しており,長距離通話では業界でもっとも高い収益を上げている。現行の法令のもとに,同社は年末までに全米22市場においてサービス提供の開始を計画している。

 前年の通信業界の不況に反して,同社は,ローカル,IP,管理サービスといった市場でシェアを伸ばしている。同社は,引き続き,ローカルの音声,データ・サービス,管理サービス,IP,グローバル機能に投資していくという。

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