「企業は,カメラ付き携帯電話の悪用によって社内セキュリティや社員のプライバシが侵害される可能性を懸念している。しかし,カメラ付き携帯電話の社内持込禁止はいささか近視眼的な対策で,しかも実施が困難」――。米Gartnerは米国時間3月4日,民生電子機器がもたらす企業セキュリティのリスクについての調査結果を発表した。

 2006年には,米国および西欧で出荷される携帯電話の80%以上がデジタル・カメラを内蔵する。このような状況を踏まえ,企業はセキュリテイを管理するためのプログラムを実施する必要がある。

 しかし,Gartner社リサーチ・バイス・プレジデントのKen Dulaney氏は,「企業にはこのようなセキュリティ問題に対応できるスタッフがおらず,検査を実施する費用もない」と指摘する。「企業は,カメラ付き携帯電話の持ち込みを厳しく制限する区域を指定する必要がある。その他の区域では,社員向けのガイドラインを策定することが重要だ」(同氏)

 社員向けガイドラインは,持ち込み制限よりもはるかに効果的だという。なぜなら,セキュリティを脅かすのは携帯電話のカメラだけではないからだ。

 例えば,携帯電話の場合,音声の録音機能が搭載されているものが多い。現在市場で増えている小型USBメモリー装置については,今後カメラが組み込まれる可能性が高く,「これをパソコンにつなげば,大量の情報を簡単に入手することができる」(同社)。さらに,DVDへの書き込みによるセキュリティ漏洩にも注意が必要だという。

 「最終的には,悪用を認めない社内文化を育てることが重要だ」(Dulaney氏)

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