米Infonetics Researchは,侵入検出/防止システム(IDS/IPS)製品に関する調査結果を米国時間9月3日に発表した。それによると,IDS/IPS市場は2003年第2四半期にやや規模が縮小し,全世界の売上高は1億400万ドルに減ったという。しかしこの市場は,「2004年第2四半期には49%増の1億4900万ドル規模になるり,その後は年平均32%で拡大を続けて,2006年の年間売上高は11億ドルに達する」(同社)という。

 同社は,「現在IDS/IPS市場は根本的な技術変化が起きている最中だが,2003年は拡大を続けるだろう」と予測する。ただし,市場が本格的に拡大を始めるのは2004年という。同社は市場拡大の要因として,(1)あらゆる層の顧客のあいだでIDS/IPS製品に対する需要が増えること,(2)使いやすく高精度のまったく新しいIDS/IPS技術が普及することの2点を挙げている。

 Infonetics社主任アナリストのJeff Wilson氏は,「アプリケーションの種類に応じて動作を変えるファイアウオールのリリースが増えているが,ユーザーにとっては次世代ファイアウオールとIDS/IPSの違いが分かりにくくなっている」と指摘する。「状況が明確になるには1年かかるだろう。それまでは,単独で動作するIDS/IPS製品の行方ははっきりしない」(同氏)

 2003年第2四半期におけるIDS/IPS市場の主な動向は以下の通り。

・米Internet Security Systems(ISS)が売上高ベースで市場シェア20%となり,1位を獲得した。米Cisco Systemsと米Symantecはそれぞれ13%で同率2位。

・ただしCisco社は,ネットワーク・ベースのIDS分野では市場シェア19%,IDSハードウエア市場では27%を占め,トップを守っている。

・同市場では売上高の減少が目立った。ネットワーク・ベースのIDS/IPSハードウエアは47%減,ホスト・ベースのIDS/IPS製品は33%減,ネットワーク・ベースのIDS/IPSソフトウエアは20%減。

・地域別の売上高は,北米が61%減,欧州/中東/アフリカが19%減,アジア太平洋地域が17%減,カリブ海/中南米が3%減だった。売上高シェアを地域別にみると,アジア太平洋地域が徐々に北米の分を侵食しており,2006年に北米が57%まで落ちるのに対し,アジア太平洋地域は22%に拡大する。

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