米IDCは米国時間9月25日,世界のIT支出に関する調査結果を発表した。それによると,2年前の同時多発テロや,今年8月に生じた北米大停電,ウイルス/ワームによる脅威などから,企業はセキュリティや事業継続性をIT支出の最優先事項に掲げている。2007年には,これらに向けたIT支出が世界で1160億ドル以上に達する見込みだという。

 調査は2003年7月に,約1000人のIT管理者を対象に実施した。回答者の40%がIT支出の最優先事項として「セキュリティ」を挙げた。また,過去6カ月のIT支出を尋ねたところ,「増加」が「減少」を上回った項目はセキュリティだけだった。

 企業がセキュリティへの取り組みを強化していることから,セキュリティやビジネス継続性に関するIT支出は,2003年末には700億ドルを超える見通しだ。さらに米国のHIPAA(医療関連データ規格)やGLBA(金融機関向け顧客情報守秘に関する法律)などに準拠するため,今後もハードウエア,ソフトウエア,サービスの需要が高まる。
 
 「企業はこれまで,セキュリティ侵害によるリスクが不確実なこと,予算の引き締めが続いていることから,セキュリティと事業継続性に関する支出を手控えてきた。しかし,セキュリティ侵害の影響に対する懐疑的な見方は薄れつつあり,企業は組織レベルでリスク管理機能を高めようとしている」(IDCシニア・バイス・プレジデント兼CROのJohn F. Gantz氏)
 
◎関連記事
「企業のIT予算,CIOは今後12カ月で平均6.4%増やす予定」,米誌の調査
2003年のITサービス市場は前年から3.5%成長,企業のIT予算でセキュリティが初めて5%を越える
「企業のIT支出,今後1年間で平均5.6%増額予定」,米誌の調査
「侵入検出/防止システム製品の売上高は減少傾向,ただし今後は年平均32%のペースで拡大へ」,米社の調査
「2003年Q1の世界セキュリティ機器市場,売上高は減少するも出荷台数は増加」,米IDC
2002年Q4の世界セキュリティ機器市場は前期比15%増,「ファイアウオールとVPNがけん引」
2003年のITサービス市場は前年から3.5%成長,企業のIT予算でセキュリティが初めて5%を越える
ITセキュリティ製品の支出は今後1年で成長の見込み,「知名度より品質重視」

[発表資料へ]