米Microsoftが,Windowsサーバー/クライアントOSで使用している通信プロトコル技術を他社に開示するライセンス・プログラム「Microsoft Communications Protocol Program(MCPP)」について,条件などを変更すると米国時間1月23日に発表した。独禁法訴訟の和解命令に従い,新たに約20種類のプロトコル技術を無償提供するほか,ロイヤルティ料金を定額制にするなど,ライセンスの利用条件を簡素化したという。

 MCPPは,同社が独禁法訴訟を受けて2002年8月に開始したライセンス・プログラム。同ライセンスを取得すると,サード・パーティ開発者はWindows用通信プロトコルの技術情報を入手できる。これをサーバー製品に組み込むことで,Windowsとの相互接続性を向上できるようになる。現在までに11社がライセンスを取得し,自社製品に同社のプロトコルを実装している。

 「和解命令に従ったMCPPは,Windowsとの相互接続性を実現する際に利用可能な多くの手段の1つだ。こうしたプログラムは前例がなく,対象となる技術は複雑なので,ライセンス・プログラムの質を向上させ,ソフトウエア開発者にとってさらに魅力的な取り組みとするため,業界や政府にはぜひフィードバックしてもらいたい」(Microsoft社副社長兼総合委員会代理のMary Snapp氏)

 同社が明らかにしたMCPPの変更内容は以下の通り。

・14種類の技術情報について,新たに6つのロイヤルティ・モデルを設定した。6つのうちプロキシ/ファイアウオール技術情報は定額制,それ以外の5つの技術情報(コラボレーション・サーバー,マルチプレーヤ・ゲーム,プリント/ファクシミリ・サーバー,VPN,WWWサーバー)は,導入台数単位の定額制を適用する。残りの技術については,従来通り技術を組み込んだ製品の売上高に対する比率で決める。比率は最低の1%から,全技術を組み込んだ5%の範囲

・ライセンス条件の量を半分未満に簡素化し,理解しやすくした

・約20種類の通信プロトコルを,同社の開発者向け有償サービス「Microsoft Software Developer Network(MSDN)」のWWWサイトで無償公開する。実行可能なライセンスと技術文書も同サイトでダウンロード提供する。公開する通信プロトコルは,これまでMCPPでライセンス提供していた14種類の技術情報に含まれる,一般的なネットワーク接続技術であるという

・ライセンス取得者のエンド・ユーザーを監査する権利の廃止,ほかのMCPPライセンス所有者にロイヤルティ・フリーで技術を配布するための明確な権利の設定など,ライセンス合意に基づいた事業を行いやすくする

 新しいライセンス条件は,MCPPのWWWサイトに掲載する。なお現在同社は,米司法省と独禁法訴訟に関わっている州の弁護士らにライセンス条件の変更内容を説明しており,「まもなく合意に達する」(同社)としている。

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