米Microsoftは,Windowsサーバー/クライアントOSで使用している通信プロトコル技術を他社に開示するライセンス・プログラム「Microsoft Communications Protocol Program(MCPP)」について,条件などを変更すると米国時間8月1日に発表した。主な内容は,条件を簡略なものにし,ロイヤルティ料金を減額するとともに,ライセンスの対象範囲を拡大する,などである。

 MCPPは,同社が独占禁止法訴訟を受けて2002年8月に開始したライセンス・プログラム。同ライセンスを取得すると,サード・パーティ開発者はWindows用通信プロトコルの技術情報を入手できる。これをサーバー製品に組み込むことで,Windowsとの相互接続性を向上できるようになる。現在までに米EMC,米Network Appliance,米VeriSign,米Starbak Communicationがライセンスを取得し,自社製品にMicrosoft社のプロトコルを実装している。

 同社が明らかにしたMCPPの変更内容は以下の通り。

・ライセンス供与処理の開始方法,ライセンス更新のタイミング,プロトコル独自開発に関するライセンス所有者の権利,プログラムの論理面について,条件を変更。

・ライセンス料金体系を簡略化し,Microsoft社のプロトコル技術を組み込んだ製品の売上高に対する比率で決定する。利用する機能の種類に応じ,ソフトウエア製品の場合は1%~5%,ハードウエア製品の場合は0.5%~2.5%。

・10万ドルだったロイヤルティ料金を5万ドルに減額。

・ロイヤリティの額を高めずに,ライセンスの対象範囲を拡大した。これまでのWindows 2000/XPおよび将来版OSに加え,新たにWindows 95/98など従来版も対象範囲に含める。

 新しい条件のMCPPは,直ちに適用する。詳細な内容は,MCPPのWWWサイトに掲載している。なお旧条件のMCPPは,新プログラムのオプションとして2003年9月30日まで有効とする。

 また同社は,MCPPに関する機密保持契約(NDA)の廃止,WWWサイトでライセンス条件の公開,ライセンス合意前にプロトコル技術評価を可能とする機会の提供,といった条件変更についても明らかにした。

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