米Texas Instruments(TI)は,動作周波数が1GHzのDSP「TMS320C6414T」「同C6415T」「同C6416T」のサンプル出荷を開始した。TI社が米国時間1月19日に明らかにしたもの。「1GHzを達成した業界初のDSP」(TI社)とする。

 TI社は,90ナノ・メートルのチップ製造技術を採用することで,トランジスタの集積密度と動作周波数を高めることに成功したという。また,より小型のチップを効率的に製造できるようになったとする。

 1GHzの動作周波数によって,ビデオ/画像処理アプリケーションでは8ビット・データを8ギガMACで,音声/オーディオ・アプリケーションでは16ビット・データを4ギガMACで処理できるという。

 「これまでにない高速処理が実現したことで,無線ベース・ステーション,IPベース・ビデオ,高速ブロードバンド・ネットワーキングなど,既存のリアルタイム・アプリケーションの帯域幅とチャネル容量を増やすことができる。また,適応型アレイ・アンテナ,スマート・カー,人工視力といった,新たな用途も模索できる」(同社)

 さらにTI社は同日,90ナノ・メートルのチップ製造技術を同社が提供する720MHz版DSP「TMS320C64x」に適用したことを発表した。ダイ・サイズの縮小が可能になったことで,ダイの数をウエーハ当たり約50%増量することに成功した。「価格を現行の半分以下に切り下げられる」(同社)

 製造プロセス・ルールが90nmになると,DSP,メモリ,周辺機器,RISCプロセサ,アナログ部品同士の通信が合理化できるため,system-on-a-chipアーキテクチャの実装が容易になるといったメリットがあるという。

 C6414T,C6415T,C6416Tの組み込み用途は異なるが,いずれも1Mバイトのオンチップ・メモリを備える。2004年第4四半期に量産体制に入る予定。C6414Tの1万個ロット時の単価は189ドルになる見通し。また,これらDSPの720MHz版も用意する。720MHz版C6415Tの1万個ロット時の単価は115ドル~。

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