米QUALCOMMが米国時間11月6日に行った報告によると,世界各地の携帯電話機メーカー13社が,同社の統合チップセット「MSM6200」「MSM6250」とシステム・ソフトウエアを採用しているという。

 MSM6200とMSM6250は,WCDMA(UMTS)対応携帯電話機向けの製品。「中国,欧州,日本,韓国,台湾,米国のメーカーが,2004年に開始予定のネットワークに対応した携帯電話機に搭載する予定である」(QUALCOMM社)

 MSM6200は,日本で運用中のWCDMA商用サービスに対応する携帯電話機で使用されている。WCDMAモード時のデータ転送速度は最大384kbps。一方MSM6250は,GSM,GPRS,WCDMAとの互換性を備え,エントリ・レベルから,ハイエンドのマルチメディアやGPS対応携帯電話機に適用可能である。

 両チップセットのそのほかの主な特徴は以下の通り。

・アプリケーション・スイート「Launchpad」に対応しており,マルチメディア,GPS,リムーバブル・ストレージの利用が可能

・携帯電話機用アプリケーション・プラットフォーム「Binary Runtime Environment for Wireless(BREW)」により,サーバーからダウンロードしたC/C++ベースのアプリケーションを携帯電話機上で高速に実行する

・Java実行環境に対応し,BREWソフトウエア・レイヤ上でJava2 Platform, Micro Edition(J2ME)ソリューションを実行可能

・中間周波数(IF)を介さずに直接ベース・バンド信号に変換するradioOne Zero Intermediate Frequency(ZIF)アーキテクチャを採用。大きなIF SAWフィルタや余分なIF回路などの部品が不要となる。部品点数が減ることから,実装面積とコストの削減が可能

 また同社は同日,チップセットMSM6250および「MSM6275」に対応するWCDMA/GPS用無線処理LSI「RFR6250」についても明らかにした。

 同LSIは,これまで3つのチップが必要だった無線処理機能を1つに統合し,1900MHz/2100MHz帯WCDMAとGPSの同時使用を可能にする。同社の低ノイズ・アンプ(LNA)「RFL6200」,WCDMA用レシーバ「RFR6200」,GPS用レシーバ「RGR6200」の機能を1つのLSIで提供する。さらに,外部UHF電圧制御オシレータ(VCO)も内蔵している。

 RFR6250は,シリコン・ゲルマニウム(SiGe)を使ったバイポーラ相補性金属酸化膜シリコン(BiCMOS)プロセスで製造する。大きさは7mm×7mmで,パッケージは表面実装型48ピンQFN。2004年第2四半期にサンプル品をリリースする。

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[発表資料(MSM6200,MSM6250)]
[発表資料(RFR6250)]