米IDCは米国時間11月5日,2003年第3四半期の世界携帯電話機市場に関する調査結果を発表した。携帯電話機の出荷台数は1億3010万台で,前年同期に比べ21.2%増加,前期に比べ14.0%増加した。メーカーの首位は,フィンランドのNokiaが維持した。また,韓国のLG Electronicsが,スウェーデンEricssonとソニーの合弁会社であるSony Ericsson Mobile Communicationsから5位の座を取り戻した。

 全世界で携帯電話機市場が成長を続けている要因として,IDCは,新興市場で携帯電話機を初めて購入するユーザーが多いこと,成熟市場で買い替え需要が高いことを挙げている。「カメラやカラー画面を搭載した携帯電話機が世界中で増えていることが,新しい機種に対する消費者の関心を刺激し続け,市場の急成長に拍車をかけている」(IDC,モバイル機器担当アナリストのDavid Linsalata氏)

 第3四半期は,トップ5メーカーの合計市場シェアが回復した。2002年第4四半期に5社合わせて77.3%あった市場シェアは,2003年第1四半期に71.4%まで減少したが,当期に76.6%まで戻った。またトップ5メーカーが揃ってプラス成長となったのは,2003年では当期が初めてである。しかし多くのアジア系メーカーが世界市場に参入しつつあることから,「今後も上位メーカーが市場シェアを維持できるかについては,予断を許さない状況」(IDC)という。

■2003年第3四半期における世界携帯電話機市場の
  メーカー別出荷台数と市場シェア(速報値)
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順位   メーカー           出荷台数        市場シェア(%)
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1      Nokia             45,500,000          35.0
2      Motorola          20,200,000          15.5
3      Samsung           15,000,000          11.5
4      Siemens           11,300,000           8.7
5      LG Electronics     7,600,000           5.8

-      その他            30,500,000          23.4
-      合計             130,100,000
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※各メーカーのブランドで出荷した台数を集計しており,
OEM向け販売は対象外

出典:IDC(2003年11月4日)

 首位のNokia社は,出荷台数が前期比11.2%増加した。米国市場と世界CDMA市場で相変わらず強さを発揮した。ただし市場規模が拡大した影響で,シェアは縮小した。

 米Motorolaは,第2四半期に前期比5%以上出荷台数が減少したが,当期は同27.8%増と大幅に回復した。市場シェアは前期比1.7ポイント増の15.5%となり,3位の韓国Samsung Electronicsとの差を広げた。

 Samsung社の出荷台数は前期比300万台増の1500万台。市場シェアは11.5%で,前期の10.5%から拡大した。カラー画面,カメラ,ビデオ機能の付いたハイ・エンド機種の需要が増えた影響という。

 ドイツSiemensの出荷台数は1130万台で,前期比39.5%の大幅増。LG Electronics社は海外向けCDMA/GSM製品が急成長し,5位に返り咲いた。市場シェアは5.8%で,Sony Ericsson社の5.5%をわずかに上回った。

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