米QUALCOMMが米国時間5月22日に,2つのCPUを単一パッケージに統合した携帯電話機向けLSI製品系列「MSM7xxx」を発表した。同製品系列のLSIは,2004年にサンプル品を出荷する予定。

 「機能満載の消費者向け第3世代(3G)マルチメディア対応携帯電話機や,企業ユーザー向けの高速データ通信可能な機器などを普及させるため,より経済的で高性能なソリューションに対する必要性が高まっている。この状況に対応するため,MSM7xxxを開発した」(QUALCOMM社)

 MSM7xxx系列のLSIはすべて,高速動作を求められる機能とマルチモード・モデム向けに最適化したプロセサと,通常機能用のプロセサの2つを組み込んでいる。複数モードに対応する製品は,CDMA2000 1X/1xEV-DO,WCDMA(UMTS)などの3G無線通信標準に対応するほか,GPRS,GSM,IS-95との互換性も備える。CDMA2000 Revision D,High-Speed Downlink Packet Access(HSDPA),IEEE 802.11,内蔵GPSといった新しい技術にも対応する。

 通常機能用のプロセサは,高解像度ディスプレイ上で動作する高速マルチメディア・アプリケーション・エンジンに対応しており,同社の携帯電話機向けアプリケーション・プラットフォーム「Binary Runtime Environment for Wireless(BREW)」やサード・パーティ製のOSの統合が容易という。

 中間周波数を介さずに直接ベース・バンド信号に変換するダイレクト・コンバージョン方式「radioOne Zero Intermediate Frequency(ZIF)」アーキテクチャを採用することから,「マルチモード/マルチバンドの3G対応無線機器において,部品点数を減らし,より経済的なソリューションを実現できる」(同社)

 同社によると,MSM7xxx製品系列LSIの以下に示す特徴を持つという。

・ARM11プロセサ・ベースのアプリケーション用プロセサを内蔵したことで,動作周波数300MHzから1GHzの範囲でアプリケーションの実行が可能となる。さらに,QUALCOMM社の高速マルチMAC「QDSP5000 Digital Signal Processor」を搭載する

・ARM9プロセサとモデム専用ハードウエアにより,低消費電力のマルチモード・モデムを実現

・2次元/3次元グラフィックス,ビデオのエンコード/デコードの性能に優れる

・QVGA(320×240ピクセル),VGA(640×480ピクセル)の画面に対応

・eコマースおよび企業アプリケーション向けの高度なセキュリティ機能を備える

・高速/低消費電力のシリアル・インタフェース「Mobile Display Digital Interface(MDDI)」により,同LSIと液晶パネル間の内部接続を最適化すると同時に,携帯電話機と外部ディスプレイやビデオ・プロジェクタとの接続を可能にする

・高速/低消費電力のメモリー・サブシステムに対応

 また同社は同日,「MSM6xxx」製品系列に属する新LSI,データ通信機能を持つエントリ・レベルのCDMA2000 1X対応機器用「MSM6025」,CDMA2000 1X Revision Dに対応する「MSM6700 CDMA2000 1X Revision D」,HSDPAに対応する「MSM6275」の3製品についても明らかにした。

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