米Eolas Technologiesが米Microsoftに対して起こした特許侵害訴訟で,Eolas社の主張が認められたことにより,Microsoft社は米国時間10月6日,回避策としてWindowsやInternet Explorer(IE)に変更を加える考えを明らかにした。また,同技術を利用するWeb開発者などが変更によって受ける影響を最小限におさえるための手法も検討するとしている。

 この特許侵害訴訟は,Eolas社がMicrosoftを1999年に訴えたことに始まる。Eolas社が問題とする特許は,プラグインやアプレット,ActiveXコントロールのようにブラウザに機能を追加する技術に関するもの。Microsoft社は「Internet ExplorerやWindows 95以降の各種WindowsがEolas社の特許を侵害した」として,8月11日に約5億2100万ドルの支払い命令を受けた。

 Microsoft社は,IEの仕様に「わずかな変更」(Microsoft社)を加える。変更した新たなIEが一般で利用可能になるのは,来年初頭の見込みである。Web開発者がこの変更に対応した処置を行わない場合,米Macromediaの「Flash」,米Apple Computerの「QuickTime」,米RealNetworksの「RealOne」,米Adobe Systemsの「Acrobat Reader」,米Sun Microsystemsの「Java Virtual Machine」,Microsoft社の「Windows Media Player」などの技術を用いたコンテンツを表示する際に,毎回ダイアログ・ボックスが現れる。Microsoft社は業界パートナと協力して,修正作業に関する情報提供を行う。IE技術の変更に関する情報は同社Webサイトで公開する。

 またMacromedia社は,Microsoft社の変更に対応した体制について同日明らかにした。同社Webサイトに「Active Content Developer Center」(www.macromedia.com/devnet/activecontent/)を開設し,IEに今後加えられる変更の情報,関連ツールやリソースを提供する。すでに,「変更前/変更後」のHTMLやスクリプトの例をいくつか掲載している。開発者はこれを参照して,手作業で該当するWebページに修正を加えるか,サイト全体を修正するスクリプトを記述する。さらにMacromedia社は,修正ツール「Active Content Update Utilities」を無償で提供する予定である。同ツールにより,Flashをはじめ,「Shockwave」や「Authorware」などを用いて作成したコンテンツのサポートに必要な修正を効率的に実行することができる。

 「新たなIEが普及する頃には,ほとんどのWebサイトで修正が完了しているだろう」(Macromedia社製品デザイン部門上級バイス・プレジデントのMike Sundermeyer氏)

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[発表資料(Microsoft社プレス・リリース)]
[発表資料(Macromedia社プレス・リリース)]